ヒト胎児の胎動計測方法に関する文献レビュー

DOI
  • 根本 清香
    1) 東京都立大学大学院 人間健康科学研究科 2) リニエ訪問看護ステーションキッズ世田谷
  • 川野 晃裕
    2) リニエ訪問看護ステーションキッズ世田谷
  • 儀間 裕貴
    1) 東京都立大学大学院 人間健康科学研究科

抄録

<p>【はじめに、目的】</p> <p> ヒト胎児における胎動数の減少は早産や胎児死亡などと関連が あり(Morita et al,2020; Stacey et al,2011)、胎児の健康状態を把握するための重要な指標とされている。しかしながら、胎 動数の減少は母体知覚という主観的評価が用いられることが多く、母親の注意や覚醒の程度による影響を受けやすい。また、胎児に 対する客観的評価の多くが超音波を用いたエコー検査により行われているが、これは診察時などの限られた時間で胎児の状態を観察する方法となっている。先行研究では、胎動数は母体の活動量と関連なく夜間に増加することが報告されている (竹下, 1983)。母体の概日リズムに関連せず夜間に胎児の活動 量が増加することは、発達において何らかの利益をもたらしている可能性がある。そのため、胎動の日内変動を縦断的に計測することは、胎児の発達を評価する上で重要な指標になると考えられる。今回、日中や夜間の胎動を経時的に計測する手法を検討するにあたり、胎動の客観的な測定方法について文献レビューを行った。 </p> <p>【方法】</p> <p> 胎児 (fetalなど)、運動 (movementなど)、計測 (measurementなど)の3つの概念に基づくキーワードを用いた検索式を立て、 PubMedにて、①英語で書かれた論文、②ヒトを対象とした研究、③臨床における研究を条件に検索を行った。検出された論文のリストを文献レビューツール (Rayyan)に取り込み、重複文献を除いた後、論文タイトルおよびアブストラクトを確認し てスクリーニングを行い、採用文献の発行年、胎動の計測方法、計測時間の情報等を抽出して検討を行った。 </p> <p>【結果】</p> <p> 1,727件がスクリーニングの対象となり、61件が二次レビューの 採用文献に含まれた。これらの発行年は1977年~2021年であった。胎動の計測には、超音波 (28件)、加速度計 (11件)、 phonograph (4件)、心電図 (4件)、心磁図 (4件)、陣痛計 (3件)、ひずみゲージ (2件)、圧電結晶 (2件)、サーモグラフィー (1件) などが使用されていた。計測時間は1時間未満が42件、1時間 以上が12件あり、1時間以上の計測にはphonograph (2件)、陣痛計 (2件)、加速度計 (3件)、超音波 (5件)が用いられていた。 計測時間の最長は6.2±1.3時間で加速度計による計測であった。 </p> <p>【考察】</p> <p> 客観的な胎動の計測には、超音波および加速度計によるものが約61%を占めていた。そのうち、2000年代までは超音波での計測による報告の割合が多く、2000年代以降は加速度計による計測の報告が増加していた。2020年以降は再び超音波での計測による報告が増加していたが、これは3Dエコーや4Dエコーなど新たなデバイスの開発・普及によるものであると考えられた。夜間の胎動を計測する場合には数時間から半日単位の記録が必要であるため、現状では加速度計による計測が実用的であると考えられた。また、最長の記録が行われた装置は高価であるため、より安価で簡易に胎動を計測できるデバイスの開発が必要である。 </p> <p>【倫理的配慮】</p> <p>文献レビューであるため、特に記載する事項はありません。</p>

収録刊行物

  • 小児理学療法学

    小児理学療法学 2 (Supplement_1), 145-145, 2024-03-31

    一般社団法人 日本小児理学療法学会

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390862623770629504
  • DOI
    10.60187/jjppt.2.supplement_1_145
  • ISSN
    27586456
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用可

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