療育現場で未就学児の粗大運動機能を評価する簡易な「サーキットチェックリスト」の開発

DOI
  • Zeidan Hala
    株式会社Ecold 京都大学大学院医学研究科 人間健康科学系専攻
  • Bandara Anuradhi
    京都大学大学院医学研究科 人間健康科学系専攻
  • 入江 啓輔
    京都大学大学院医学研究科 人間健康科学系専攻
  • 中田 咲来
    京都大学大学院医学研究科 人間健康科学系専攻
  • 青山 朋樹
    京都大学大学院医学研究科 人間健康科学系専攻

抄録

<p>【はじめに、目的】</p> <p>未就学児の運動機能の発達にはばらつきがあり、運動機能の遅れや障害を評価することは容易ではない。幼稚園や保育園の先生や療育現場の先生は乳幼児期に子供たちと最も接触し、最も早い段階から介入に関与できると考えられている。幼児の運動機能の評価法は色々あり、国際的に運動機能の評価にはMABC-2が用いられているが、日本では標準化されていない。また、理学療法士や作業療法士などの専門職以外も簡単に運動機能を評価する方法が必要である。本研究においては簡易に運動機能を評価する「サーキットチェックリスト (CC)」を開発することを目的としている。 </p> <p>【方法】</p> <p>はじめにサーキット運動として12個のセクションを組み、各セクションの細かな観察項目のチェック項目を作った。放課後等デイサービスで療育を受けている3~7歳の子供32人を対象に、サーキット運動を実施し、動画を撮像した。2人の理学療法士が、動画を使用しチェックリストの各観察項目にチェ ックを付けた。実行可能であった観察項目の合計点を算出した。またMovement Assessment Battery for Children - 2nd edition (MABC-2)で評価し、Aiming & Catching評価の2つの 項目とBalance評価の3つの項目のStandard Scoreをまとめて、 MABC-2のGross Motor Score (GMS)を計算した。CCの合計点 と GMSの有効性を分析するのにPairwise Correlationを使用し た。 CCの信頼性は評価者内の信頼性、評価者間信頼性と内的整合性のCronbach’s Alphaで分析した。本研究は所属施設の倫理委員会の承認を得て、両親の承諾を得て行った。 </p> <p>【結果】</p> <p>GMSを弱い相関のあるCCの項目や教室で通常使用さ れないCCの項目を外し、CCをボールキャッチ、ボールキック、 手押し車、お手玉投げ、足形のカードの上にジャンプ、幅跳び、片足立ちの7個の動作に絞った 。チェックリストの観察項目は 98個から42個の項目に絞った。7個の動作項目の合計点とGMS は中程度の相関があった (0.6421, p<0.0001)。評価者間信頼性は、推定値の高い精度を示し (範囲: 0.589 ‒ 0.856)、内的整 合性は中程度であった (Cronbach’s Alpha: 0.666)。 </p> <p>【考察】</p> <p>CCは教室環境において未就学児の粗大運動機能を簡易的に評価できると考えられる。今後は多職種で同様に評価できるか検証する必要がある。 </p> <p>【倫理的配慮】</p> <p>本研究は京都大学の倫理委員会の承認を得た (倫理審査承認番号:R-2929)。 設備を利用する用事の両親に本研究の説明書やインフォムドコンセントを配り、両親の承諾を得て行った。</p>

収録刊行物

  • 小児理学療法学

    小児理学療法学 2 (Supplement_1), 164-164, 2024-03-31

    一般社団法人 日本小児理学療法学会

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390862623770640384
  • DOI
    10.60187/jjppt.2.supplement_1_164
  • ISSN
    27586456
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用可

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