重症心身障害児・者のLIFEと身体組成値の関連性の検討~LFCSを用いた生活機能分類ごとの比較~

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抄録

<p>【はじめに、目的】</p> <p> 重症心身障害児・者(以下、重心児)は、大島分類を用いることで知的・運動機能の全体像が把握できるが、呼吸・循環機能や姿勢等の情報は不十分である。これらに対し、重心児の詳細な 生活機能評価法のLife Inventory to Functional Evaluation(以下、 LIFE)と従来よりも細分化した生活機能分類のLife Function Classification System(以下、LFCS)が開発された。それらを利 用し機能ごとの心身機能の差を知ることで、重心児を細分化し 個々に沿った理学療法介入が可能となる。併せて、筋量や栄養状態を把握することは運動プログラムを詳細に決定できる要素となる。以上より本研究では、LFCSのレベル間でLIFEの生命維持機能と姿勢運動のスコアの差および身体組成の比較を行った。また LIFEのスコアと身体組成との関連を明らかにした。 </p> <p>【方法】</p> <p> 当施設を利用する重心児34名(男性:17名、女性:17名、年齢 :25.1±10.5歳、2~43歳)を対象としLIFE (Version0.5.5)の PartⅠとPartⅡを評価した。またLFCS (Preliminary Version)を用いてレベル1~6に分類した(レベル1:5名、レベル2:9名、レベル4:5名、レベル5:6名、レベル6:9名)。身体組成評価 にはIn Body S10を使用し、Body Mass Index(BMI)、体脂肪率、 Extracellular Water/Total Body Water(ECW/TBW)、Phase Angle(PhA)、Skeletal Muscle Mass Index (SMI)の計測値を抽 出した。解析はLFCSのレベル間でのLIFEのPartⅠとPartⅡのスコアと身体組成値の差をKruskal-Wallis検定、LIFEのPartⅠと Part Ⅱの各スコアと身体組成値との関連性をSpearmanの順位相関 係数にて検討した。 </p> <p>【結果】</p> <p> LFCSのレベル間でのLIFEの差はPartⅠではLFCSレベル1と5 (p =0.03),6(p<0.01)、レベル2と5(p=0.03),6(p<0.01)、Part Ⅱではレベル1と5(p<0.01),6(p<0.01)で有意差が見られた。 LFCSのレベル間での身体組成値は、SMIでレベル2とレベル 6(p<0.01)にて有意差が見られた。LIFEのPartⅠとPartⅡのそれぞれのスコアと身体組成値との相関は、PartⅠではPhA(ρ= 0.41)、SMI(ρ=0.57)との有意な正の相関が認められ、体脂肪率(ρ=-0.37)とECW/TBW(ρ=-0.38)との有意な負の相関 が認められた。PartⅡでは、SMI(ρ=0.56)との有意な正の相関が認められ、体脂肪率(ρ=-0.53)とECW/TBW(ρ=- 0.67)との有意な負の相関が認められた。 </p> <p>【考察】</p> <p> LFCSによる分類で抗重力位保持が可能で呼吸機能の問題の少ないレベル1・2よりも気管切開や人工呼吸器管理で寝たきりのレベル5・6の対象者でLIFEの各Partの合計値が低い傾向を示した。これにより、抗重力位保持の可否に加え呼吸管理の方法が心身機能に影響する可能性があると考えられる。また、LFCSにて心身機能が低いレベルの重心児は、SMIが有意に低下しており抗重力位保持には筋量維持が重要となると考えられる。身体組成との関連性では、両Partで体脂肪率とECW/TBW、SMIが関わっており、心身機能を捉えるには、栄養状態と筋量の関わりが大きいことが示唆された。また、PartⅠでは、PhAとの関係性も見られた。重心児の心身機能を捉えるうえで、呼吸状態や姿勢保持機能、筋量・栄養状態を評価することは個々の状態に沿った理学療法介入のために重要となる。 </p> <p>【倫理的配慮】</p> <p>本研究は国際医療福祉大学倫理審査委員会の承認を受けている(承認番号:21-Ig-39、21-Io-13)。</p>

収録刊行物

  • 小児理学療法学

    小児理学療法学 2 (Supplement_1), 47-47, 2024-03-31

    一般社団法人 日本小児理学療法学会

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390862623770658688
  • DOI
    10.60187/jjppt.2.supplement_1_47
  • ISSN
    27586456
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用可

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