放課後等デイサービスでの多職種連携における理学療法士の役割について

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抄録

<p>【はじめに、目的】</p> <p> 小児経験のある理学療法士に、放課後等デイサービスでの多職種とのやり取りの中で、どのような知識や技術の伝達が求められているのか、当社の取り組みを報告し、セラピストのいない放課後等デイサービスの潜在的なニーズや、必要な支援などを検討する材料とすることと、放課後等デイサービスでのセラピストの役割について明確にする。 当社は、重症心身障害児を対象とした放課後等デイサービスを運営している。放課後という限られた時間で、児童指導員、看護師、理学療法士が様々な視点で支援を行っている。 今回、預かり中に、スタッフから相談されたこと、理学療法士 からスタッフへアドバイスを行った内容についてまとめたので、報告する。 </p> <p>【方法】</p> <p> 2023年4月1日から6月末日までに、小児経験のある理学療法士 2名が、スタッフから相談を受けた内容と、理学療法士から スタッフへアドバイスを行った内容について記録した。記録は、発信元 (スタッフ、理学療法士)、内容カテゴリ (運動、姿勢、 摂食介助、身体の特徴、補装具、呼吸)、詳細 (自由記載)と3つに分けて行った。 </p> <p>【対象児童】</p> <p> 2店舗あり、一日の預かり上限は10名。全登録児童は、約50名。 </p> <p>【対象スタッフ】</p> <p> 看護師7名、児童指導員4名 </p> <p>【結果】</p> <p> スタッフからの相談は28件、理学療法士からのアドバイスは 21件であった。 内容カテゴリとしては①運動15件 (スタッフ発信9件)内訳:活動 (遊びの姿勢や、活動方法に関するやりとり)7件、ROM (身体の硬さを和らげる方法に関するやりとり)2件、介助方法 (立ち上がり介助方法や抱っこの仕方)3件、歩行器 (歩行器の調整 )2件、歩行 (転倒リスクへの対応)1件。 ②姿勢13件 (スタッフ発信9件)内訳:ポジショニング6件、立位台4件、座位保持装置車いす2件、カーシート1件。 ③摂食介助15件 (スタッフ発信 9件)内訳:食事介助11件、飲水介助4件 ④身体の特徴3件 (全てPT発信)新規利用者の初期評価や、呼吸状態の評価やリスク管理に対してのアドバイス ⑤補装具2件 (スタッフ発信1件 )補装具の適応確認 ⑥呼吸1件 (PT発信)肺痰介助に関するアドバイス </p> <p>【考察】</p> <p> 食事介助と活動、ポジショニングに関する相談が上位に挙がった。 食事介助に関しては、一日預かり時など昼食をとるため必須の介助である。誤嚥のリスクや摂食方法の誤学習が起きないように食べさせることへのリスクを理解しているため、相談件数が高くなっていると考える。 活動に関しては、よりよい支援を行うために、身体の特徴に関する知識の補完や、活動のアイデアを求めていた。 ポジショニングに関しては、快適な姿勢や不快を取り除くための姿勢など、取らせたい姿勢をスタッフが設定することが難しく、相談が挙がりやすかった。 身体の特徴と、呼吸に関しては、スタッフに気付きが見られていないリスクに関してのフィードバックとして行っていたため理学療法士発信となっていた。 </p> <p>【まとめ】</p> <p> 放課後等デイサービスでの食事介助や活動、ポジショニングなどの技術・知識の向上に対するニーズが多くあることが示唆された。 今後、継続していくことで、当社の多職種連携の質の変化を追っていく。 </p> <p>【倫理的配慮】</p> <p>ヘルシンキ宣言に基づき対象者の保護には十分留意し、説明と同意などの倫理的な配慮を行ったうえで研究を実施したこと</p>

収録刊行物

  • 小児理学療法学

    小児理学療法学 2 (Supplement_1), 67-67, 2024-03-31

    一般社団法人 日本小児理学療法学会

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390862623770668928
  • DOI
    10.60187/jjppt.2.supplement_1_67
  • ISSN
    27586456
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用可

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