人工膝関節全置換術術後Type 4感染に対して一期的再置換術を施行した1例

DOI
  • 大神 浩司
    京都府立医科大学大学院医学研究科 運動器機能再生外科学教室(整形外科学教室)
  • 井上 敦夫
    京都府立医科大学大学院医学研究科 運動器機能再生外科学教室(整形外科学教室)
  • 高橋 謙治
    京都府立医科大学大学院医学研究科 運動器機能再生外科学教室(整形外科学教室)
  • 中川 周士
    京都府立医科大学大学院医学研究科 スポーツ・障がい者スポーツ医学
  • 新井 祐志
    京都府立医科大学大学院医学研究科 スポーツ・障がい者スポーツ医学

抄録

<p>はじめに:感染によるゆるみを伴う人工膝関節全置換術(TKA術後Type 4感染)に対しては二期的再置換術が勧められるが,特定の条件を満たせば一期的再置換術も適応となる。TKA術後Type 4感染に対して一期的再置換術を施行した症例を報告する。</p><p>症例:79歳女性。74歳時左TKAを施行された。術後2か月脛骨インプラント周囲にRadiolucent Lineを認めたが増悪はなく経過観察されていた。術後4年関節痛の悪化を自覚したが熱感や関節水腫もなく感染徴候は認めなかった。関節液の培養検査は陰性で,血液検査で炎症反応を認めなかった。骨シンチグラフィで脛骨インプラントのゆるみと診断し一期的再置換術を施行した。術中の関節液培養検査で細菌は検出されなかったが,滑膜組織からStaphylococcus hominisが検出された。VCMとRFPを10日間,TEICとRFPを3週間投与後,MINOとRFPの内服を5か月継続した。術後8か月感染徴候なく経過良好である。</p><p>考察:Haddadらは軟部組織が良好で,骨融解や欠損が少ないこと,起炎菌が同定され感受性のある抗菌薬があることおよび免疫不全や敗血症などがないことが一期的再置換術の適応としている。本症例は術後早期のゆるみでありType 4感染を念頭に治療した。術前に起炎菌は同定されなかったが他の条件は満たしており,一期的再置換術を選択した。二期的再置換に比べ治療期間は短く術後可動域も良好であり,Type 4感染でも条件を満たせば一期的再置換術は有効な治療法と考えた。</p>

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390862623770827136
  • DOI
    10.11551/jsjd.43.51
  • ISSN
    18849067
    18832873
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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