東京都多摩市の住民主体の活動の継続支援の再考

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  • 桐林 亜希子
    社会医療法人河北医療財団 多摩事業部 介護予防機能強化推進事業部

抄録

<p>東京都多摩市は、高齢者人口約43,000人、高齢化率29.3% (2023年2月時点)であり、多摩丘陵地の北端部を含み坂や階段 が多く緑豊かな街である。1970年代に始まったニュータウン開発の影響を受け団塊の世代が多く、高齢者を取り巻く状況が急激に変化している。 介護予防・日常生活支援総合事業開始前に多摩市が行った調査では、要支援者で訪問介護や通所介護のみ利用している方は、腰痛や膝痛など整形外科的な疾患の方が66.0%であった。地域の中で下肢機能の維持ができ、かつ互助への広がりが持てるような継続的な活動が必要ではないかと市担当者は考えていた。 2016年には多摩市が養成した介護予防リーダーを中核に、足腰が弱い方でも行える体操を行う住民主体の会 (以下、地域介護予防教室)が立ち上がり、2023年3月現在17か所となっている。また、2018年からは上記体操の抜粋版を行う住民主体の会も立ち上がり、約40か所となっている。いずれも地域支援事業の仕組みの中で、専門職から支援を受けながら活動を継続している。 なかでも地域介護予防教室は、 2019年度のべ20,124名、実人数1,020名 (14か所の地域介護予防教室の人数合計)が参加 している。通所C型事業 (名称:元気塾)と連動していることもあり、総合事業対象者や要支援・介護の認定を持っている方も参加されている。そのため年齢だけでなく体力面でも幅広い方が参加している。リハビリテーション職 (以下、リハ職)支援は、元気塾のリハ職が各地域介護予防教室に月1回訪問し、主に参加者支援として元気塾卒業生の状況確認や、参加者への声掛けや相談支援、介護予防にまつわるミニ講座を実施している。また、リハ職でもある介護予防・フレイル予防推進員 (東京都介護予防・フレイル予防推進員配置事業)も、主に中核となっている介護予防リーダーに対し、虚弱な方も活動を継続できるよう定期的に学びやデータに基づいた承認など活動支援を市と行っている。 参加者は「お茶をする仲間ができた」「自分より高齢の方の頑張りに刺激がもらえる」など下肢機能の維持だけでなく、他者との関わりを楽しみにする方も多い。一方で「体操だから来ている」「他者とはあまり交流はもちたくない」という声もある。そのことを踏まえつつ多摩市のリハ職が行っている、体力面だけでなく互助への広がりも持てるような住民主体の通いの場の具体的な支援方法について、本セッションで共有し皆様と深めたい。 </p><p>【倫理的配慮】</p><p>多摩市地域介護予防教室の参加者には、体力測定時に測定データ等を効果検証や学会発表で活用することに同意を得ている</p>

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