東京都町田市の通いの場の世話役支援~世話役の悩みの解決に向けた試み~

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抄録

<p>東京都町田市は2016年から地域づくりによる介護予防事業に取り組み始め、2023年で7年目を迎えた。町田市では、仲間と共に心身機能の向上に取り組むのと同時に地域づくりも図ることを目的として、町田を元気にするトレーニング (以下、町トレ)を作成し、住民主体による週1回開催の体操をきっかけとした通いの場づくりを推進してきた。リハビリテーション専門職 (以下、リハ職)はこれら町トレグループの立ち上げ及び継続支援に関わっている。 リハ職によるグループ支援では、体操指導や介護予防・フレイル予防に関する包括的な講義を行うこと等が市から求められている他に、グループ世話役からは「参加者の体操のやり方がバラバラで気になるけど言えない」「マンネリ化している」等の相談を受けることも少なくない。リハ職は、グループの状況に合わせた体操指導・講義に加え、世話役の悩みに応じた支援もしている。 一方で、町トレが始まって7年の経過とともにグループの世話役やメンバーが高齢化してきたことにより、「これから世話役として続けていけるか心配」「メンバーが少なくなっている」などの声がグループ世話役共通の悩みとして聞かれるようになった。そこで、数名の世話役らと話し合い、一部地域で町トレ世話役らが主体的に集まる意見交換会を開催することにした。意見交換会におけるリハ職の立場はオブザーバーとし、世話役主体で会が運営されるよう支援した。会は月に1回継続的に開催され、時には世話役同士の意見衝突により会の継続が危ぶまれた事もあったが、他エリアのグループ活動見学をして会の進め方を振り返る機会を設け、難を乗り切ったこともあった。会を継続した結果として、グループ合同イベントを主催するまでに至り、イベントをきっかけに新たな町トレ参加者が全体で46名となり、グループ共通の悩みであったメンバー減少に対し一定の成果を得ることができた。 グループ内で抱える課題に対しそのグループの世話役では解決策を見出せない事柄について複数のグループの世話役が力を合わせて課題に取り組み成果を得たことは、世話役らの自信につながっただけでなく、グループや地域の活性化にもつながりその意義は大きかったと考えている。我々リハ職は、世話役が抱える課題に耳を傾け、行う支援が住民主体につながる支援になっているか常に問いかけ、支援方法を改善していく事が求められている。 </p><p>【倫理的配慮】</p><p>本演題の発表内容については、関係者に口頭で説明を行い同意を得た。</p>

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