治療と仕事の両立支援における理学療法士の現状

DOI

抄録

<p>【はじめに】</p><p>治療と仕事の両立支援 (以下,両立支援)は,急性 期病院で関わる期間が短いため,復職や両立支援まで継続した理学療法を提供することが困難なことが多いと予想される.また,治療に特化した急性期病院では,両立支援まで関わることを推奨していない施設もあると予想される.本セッションでは,全国の労災病院に所属するリハビリテーション専門職種を対象に行った調査のうち,理学療法士の両立支援経験者および未経験者の状況を比較した結果と,自由回答で得られた理学療法士の役割を紹介する. </p><p>【方法】</p><p>対象は全国32施設の労災病院に所属するリハ専門職種に対し,WEBアンケート形式による横断調査研究を実施した.倫理的配慮はWEB上の書面によって対象者に研究の目的と方法を説明し,アンケートへの回答をもって同意したとみなすこと とした.本研究は大阪労災病院倫理委員会で承認された.また治療と就労の両立支援に関する行動変容ステージの状況を把握するために,「治療と就労の両立支援に関する知識と実施状況について,あなたの現状に最も近いものを選択してください」という質問に対し,以下の選択肢の中から,一つを回答させた.維持期:両立支援の内容を知っており,勤労者の両立支援を日常業務として実施し始めて,6か月以上の経験である. 実行期:両立支援の内容を知っており,勤労者の両立支援を日常業務として実施し始めて,6か月以内の経験である. 準備期:両立支援の内容を知っているが,時間がある時や気が向いた時だけ実施している. 熟考期:両立支援がどのようなものか興味はあるがあまり調べていない. 前熟考期:両立支援に興味もなく,する気もない. 上記の選択肢の中で前熟考期,熟考期,準備期を選択した者は両立支援経験者 (以下,経験群),実行期,維持期を選択した者は両立支援未経験者 (以下,未経験群)とした.各項目について単純集計を行った後,両立支援の経験群と未経験群をマン・ホイットニーのU検定を用い有意水準は5%として比較した. </p><p>【結果】</p><p>両群の比較において,年代および資格取得年数に有意差は無かった.未経験群と比較して経験群は両立支援に関する情報や知識,施設からの推奨,活動の認知,外出時間確保,体制づくりなどが高い結果であった. </p><p>【考察】</p><p>経験群では,両立支援の活動がしやすい環境であり,両立支援に関する知識も高いことが示唆された.自由記載項目は発表時に提示する. </p><p>【倫理的配慮】</p><p>倫理的配慮はWEB上の書面によって対象者に研究の目的と方法をインフォームドコンセントにて同意を求めた.説明内容は本調査への参加は自発的意思で行われること,質問 票は無記名で,年齢も10歳ごとに層別化しており,個々の施設ごとの分析はせずに全体集計とし,研究に参加しない場合であっても不利益はないこと,アンケートへの回答をもって同意したとみなすこととした.本研究は大阪労災病院倫理委員会で承認された (承認番号2022-48).</p>

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ