地域在住高齢者における生活活動の実施パターンの解明:お達者研究

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抄録

<p>【はじめに、目的】</p><p> 身体的活動や知的活動、社会的活動などの“生活活動”は、フレイル発生の修正可能な関連因子として注目されている。我々の以前の研究では実施している生活活動が多様な者ほどフレイル発生リスクが低いことを示したが、介入を優先すべき対象者像を特定し介入戦略の立案を行う必要がある。そこで本研究では、地域在住高齢者の生活活動パターンやパターン別の対象者特性を明らかにし、フレイルの具体的な介入戦略につなげることを目的とした。 </p><p>【方法】</p><p> 対象は東京都板橋区で行われている“お達者健診コホート 2011”の2018年調査に参加した65歳以上の地域在住高齢者 766名 (平均年齢73.5歳、女性60.4%)とした。生活活動は生活活動多様性評価票 (Activity Diversity Questionnaire:ADQ)を用い、20の生活活動について実施の有無を評価した。その他、統計学的因子 (年齢、性別など)、医学的因子 (既往、服薬状況)、心身機能因子 (BMI、最大歩行速度、Mini Mental State Examination;MMSE、WHO-5精神的健康状態表;WHO-5)、ケレイルの有無 (日本版CHS基準)を調査した。統計解析は生活活動の実施状況のパターンをTwo-Stepクラスター分析にて分類した。また、クラスター間の対象者特性を一元配置分散分析、およびχ二乗検定にて分析した。 </p><p>【結果】</p><p> 生活活動の実施パターンは3つ (低活動群:195名、高活動/仕事なし群:313名、高活動/仕事あり群:258名)に分類された。低活動群では高活動の2群と比べ「ショッピング」、「他者との直接的/間接的交流」、「身体活動を伴う/伴わない趣味・余暇活動」、「ボランティア活動」、「孫等の世話」、「介護」等の実施率が低かった。また、低活動群ではBMI<18.5 kg/m2の者やフレイル者の割合が有意に高く、MMSEやWHO-5のス フアが有意に低かった。 </p><p>【考察】</p><p> 地域在住高齢者において3つの生活活動パターンが確認され、低活動群では特に社会的活動や趣味・余暇活動の実施割合が低かった。また、低活動群の特性として心身機能因子が低く、フコイル者の割合が高い傾向にあった。以上より、心身機能が低下し始めた高齢者で介入を優先する必要が示された。また、そのような高齢者であっても社会的活動や趣味・余暇活動が行えるよう、移動の負担が少ない自宅近所やオンライン上で他者との繋がりや生きがいづくりを行えるような介入や環境づくりを行う必要性が示唆された。 </p><p>【倫理的配慮】</p><p> 本研究は東京都健康長寿医療センター研究所倫理委員会の承認 (承認番号:2018-16)を受け、ヘルシンキ宣言に則り実施した。</p>

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