地域在住高齢者におけるBMIとba-PWVとの関連性

DOI
  • 古谷 友希
    東京都健康長寿医療センター 研究所 獨協医科大学日光医療センター 心臓・血管・腎臓内科 医学アカデミー 理学療法学科
  • 阿部 巧
    東京都健康長寿医療センター 研究所
  • 小川 将
    東京都健康長寿医療センター 研究所
  • 山城 大地
    東京都健康長寿医療センター 研究所
  • 野藤 悠
    東京都健康長寿医療センター 研究所
  • 横山 友里
    東京都健康長寿医療センター 研究所
  • 清野 諭
    東京都健康長寿医療センター 研究所
  • 天野 秀紀
    東京都健康長寿医療センター 研究所
  • 藤原 佳典
    東京都健康長寿医療センター 研究所
  • 村山 洋史
    東京都健康長寿医療センター 研究所

抄録

<p>【はじめに、目的】</p><p> 従来、BMI高値が動脈硬化に関連するとされていたが、近年の報告ではBMI高値が動脈硬化に保護的に働く可能性が指摘されている。これらの多くは横断研究であり、BMIの変化量と brachial-ankle pulse wave velocity (ba-PWV)の変化量との関係は明らかでない。本研究ではベースライン健診(BL)のBMI並びにBMIの変化量(ΔBMI)とがba-PWVの2年間の変化量 (Δ ba-PWV)に関連するかを明らかにする。 </p><p>【方法】</p><p> BLとして設定した4年間(2014年-2017年)に草津町における健診に参加した65歳以上の地域在住高齢者1350名のうち、BLの 2年後の健診(T2)に参加した753名から、解析に用いるデータに欠損がなくankle brachial pressure indexが0.9を下回らない 732名を分析対象とした。 BMI並びにba-PWVは BLとT2との差を対応のあるt検定にて検討した。重回帰分析はBLのba-PWV を従属変数としBMIを独立変数とするModel1、Δba-PWVを従属変数とし、BLのBMI を独立変数とするModel 2、ΔBMIを独立変数とするModel3を作成した。全てのModelには調整変数として性別、年齢、運動頻度、外出頻度、喫煙、高血圧薬服用、平均血圧、HbA1cを投入した。 </p><p>【結果】</p><p> 分析対象者の平均年齢は73.2±6.1歳、男性が40.0%、BMIは 22.9±3.41kg/m、ba-PWVは1818.2±368.01 m/sであった。 T2ではBMIが22.96±3.45 kg/m、ba-PWVは1880.17± 389.48 m/sとなった。調査期間内にba-PWVに有意な上昇を認めた(p<0.001)。BMIに有意差はなかった(p=0.75)。Model 1の BMIはβ= -0.15 (95%CI -22.33 - -9.20、p<0.001)、Model 2の BMIはβ= -0.04 (95%CI -6.55 - 3.23、p= 0.51)、Model 3のΔ BMIはβ= 0.02 (95%CI -8.81 - 16.69、p=0.54)であった。 </p><p>【考察】</p><p> ΔBMIとΔba-PWVとの関連は見られなかった。動脈硬化の進行は様々な因子に影響されるためと考えられる。 </p><p>【結論】</p><p> BMIやその変化量のみでその進行を検討することは困難であるものと考えられる。 </p><p>【倫理的配慮】</p><p> 本研究は東京都健康長寿医療センター研究所倫理委員会の承認を得て実施した。対象者には書面と口頭にて研究の説明を実施し、同意を得られた者のみデータを収集した。</p>

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