通所リハビリ施設内でのSTEP UP式歩行自主リハビリの取り組み

DOI
  • 江連 亜弥
    介護老人保健施設シルバーケア敬愛 リハビリテーション部
  • 瀧澤 快至
    介護老人保健施設シルバーケア敬愛 リハビリテーション部
  • 加藤 友希
    介護老人保健施設シルバーケア敬愛 リハビリテーション部

抄録

<p>【はじめに、目的】</p><p> 当通所リハビリ (以下デイケア)は、建物の構造上移動範囲が広 く、1日の平均利用者数も110名前後の大規模施設である。その為、耐久性や人の多い環境での安全管理の問題から自宅での移動手段が歩行レベルである方も、当施設利用中は車椅子を使用する場合も少なくない。しかし、所要時間6-7時間の中、車椅子に座っている時間が長いことは望ましくない。そこで、当施設では初回利用時に移動手段として歩行か車椅子を評価し、車椅子の場合は、各利用者の能力に応じ、安全性確保と活動性向上の双方を目的にステップアップ方式の歩行自主リハビリ (以下SU歩行自主リハ)を提供している。 今回の目的は当施設において、令和5年4月時点の登録利用者の経過を遡りSU歩行自主リハを実施している割合と内訳、向上度を後ろ向きに調査することで、取り組みの有用性を示すことである。 </p><p>【方法】</p><p> 令和5年4月時点の総利用者の移動手段の割合を求めた。 SU歩行自主リハは①平行棒内歩行 (以下①)、②リハビリ室内 30m範囲歩行またはリハビリ室前廊下歩行またはその両方 (以下②)、③廊下100mコース (以下③)となっており、その割合を求めた。③から車椅子を卒業し移動手段を歩行に変更する利用者の割合も求めた。安全管理の為、担当療法士が能力評価を行い、自主リハビリ申込書を記入して頂き、開始年月日と内容を記録したものから調査した。 </p><p>【結果】</p><p> 移動手段が歩行の方は41%、車椅子の方は59%であった。車椅子の方のうちSU歩行自主リハを行っている方は41.5%であった。そのうち①のみの方は59.4%、①から②へ向上した方 31.9%、②から③へ向上した方は8.7%であった。現在の移動手段が歩行の方のうち利用開始時に車椅子で歩行へ移行した方は17.7%であった。 </p><p>【考察・結論】</p><p> 当施設は利用者の要介護度が3~5の割合が39.7%と高く、約 6割の方が車椅子を移動手段として利用している。車椅子を使 用することは転倒におけるリスク管理として必要ではあるが、動かないことで動けなくなることもリスクと考えることが必要である。当施設の環境的に付き添いでの歩行支援は困難である。しかしSU歩行自主リハの提供により、安全性と活動性の双方のバランスをとりながら歩行練習の機会を増やすことができた。以上より、SU歩行自主リハは活動性向上に有用であると考える。 </p><p>【倫理的配慮】</p><p> 本研究は、当法人臨床研究委員による承認を得ている。</p>

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