膝痛予防教室における膝痛改善者の特徴~心理的要因に着目した調査~

DOI
  • 大坂 祐樹
    苑田会 運動教室運営委員会 苑田第三病院 リハビリテーション科
  • 中﨑 秀徳
    苑田会 運動教室運営委員会
  • 吉井 彩乃
    苑田会 運動教室運営委員会
  • 高橋 慶樹
    苑田会 運動教室運営委員会
  • 深井 拓真
    苑田会 運動教室運営委員会
  • 岡崎 陽海斗
    苑田会 運動教室運営委員会 苑田第三病院 リハビリテーション科
  • 島根 幸依
    苑田会 運動教室運営委員会 苑田会人工関節センター病院 リハビリテーション科
  • 山本 彩音
    苑田会 運動教室運営委員会
  • 田中 友也
    苑田会 運動教室運営委員会 苑田会人工関節センター病院 リハビリテーション科

抄録

<p>【はじめに,目的】</p><p> 当法人では,民間のカルチャースクールと連携して,膝痛予防教室を開催している.以前我々は,教室に痛みや身体機能の改善効果があったことを報告した.しかし,参加者の中には膝痛の改善が得られていない者も存在する.膝痛改善には膝伸展筋力などの身体機能の他に,自己効力感に代表される心理的要因の重要性も報告されている.膝痛の改善が得られた者の心理的要因を含む特徴が明らかとなれば,今後の教室運営の一助になると考える.本研究の目的は,膝痛予防教室において膝痛が改善した者の特徴を,心理的要因を含めて明らかにすることである. </p><p>【方法】</p><p> 対象者は,カルチャ-スクールから当教室に申し込みがあった 者とした.教室では,講義による患者教育と集団での運動指導とした.患者教育は,行動変容理論および技法を用いて行った.集団での運動指導は,膝伸展筋を中心とした運動を行った.指導した運動はホームエクササイズとして行わせた.また,自宅での運動実施の有無を記録させ,教室参加時に振り返らせた.教室は1回1時間を隔週で計5回行った.評価項目は,膝痛 (WOMAC-P),最大等尺性膝伸展筋力 (KES),行動変容ステージ,運動実施に対する自己効力感 (E-SE),痛み自己管理セルフエフィカシー (SEP),運動を再開する自信 (Re-SE),運動を維持する自信 (Ma-SE)とした.評価は,教室初日と最終日に行った.統計解析は,WOMAC-Pの臨床的最小重要変化量 (7.5%)を基準に改善群,非改善群の2群に群分けをし,各評価項目の改善量を群間で比較した.また,従属変数を膝痛改善の有無,独立変数を他評価項目としたロジスティック回帰分析 (ステップワイズ法)を行った.有意水準は5%とした. </p><p>【結果】</p><p> 74名 (女性65名,年齢±標準偏差68.5±8.5歳,BMI23.4± 3.5kg/m2)が対象となった.改善群は24名,非改善群は50名であった.群間比較の結果,Ma-SE[%] (改善群:6.3,非改善群:-11.0),Re-SE[%] (改善群:7.3,非改善群:-13.5)に有意差を認めた (p<0.05).ロジスティック回帰分析の結果, Re-SE (OR:0.03,p<0.05)が抽出された. </p><p>【結論】</p><p> 膝痛が改善した者は非改善者と比較し,運動を再開する自信や 運動を維持する自信の改善が大きかった.また膝痛の改善には, Re-SEの改善が関連していた.膝痛予防教室での膝痛改善には, Re-SEの改善に着目する必要性が示唆された. </p><p>【倫理的配慮】</p><p> 本研究は,ヘルシンキ宣言に基づいた倫理的配慮を行い実施した.対象者には,研究の目的,研究の方法などについて十分な説明を行い,書面にて同意を得て実施した.</p>

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