回復期リハビリテーション病棟退院後のLife Space Assessmentに影響を与える因子の検討

DOI
  • 神林 宏汰
    丸木記念福祉メディカルセンター リハビリテーション科
  • 藤田 博曉
    埼玉医科大学保健医療学部 理学療法学科
  • 高石 真二郎
    丸木記念福祉メディカルセンター リハビリテーション科
  • 丸木 秀行
    丸木記念福祉メディカルセンター リハビリテーション科 埼玉医科大学 整形外科

抄録

<p>【はじめに,目的】</p><p> 回復期リハビリテーション病棟では,歩行能力やADLの向上を図り,自宅退院に向けたリハを実施している.しかし,現状として退院後の活動時間は入院中に比べ減少することがいわれている.先行研究では,身体活動量の増加が寝たきりや死亡を減少させるとされており,身体機能やADLの維持には,退院後も適度な身体活動が必要であると考える.本研究の目的は退院後の活動範囲に関連する項目を検討することとした. </p><p>【方法】</p><p> 対象は2021年8月1日から2022年1月31日までの間に当院回復期リハビリテーション病棟に入院し歩行自立にて自宅へ退院した患者を対象とした.除外基準は認知機能の低下,高次脳機能障害等により自己決定が困難な者,退院後の回答を得られなかった者とした.測定項目は基本属性として年齢,性別,Body Mass Index(BMI),算定疾患,身体機能評価として退院時に5回立ち上がりテスト,快適・最速の歩行速度,Berg Balance Test (BBS),活動 量計 (メディウォークMT-KT02DZ)にて計測された退院直前7日間の平均歩数,退院1ヶ月後のLife Space Assessment (LSA)とした.活動量計は入浴,就寝時間を除く時間に着用し,着用期間は入院中から退院後1ヶ月とした. 統計解析は基本属性,身体機能,平均歩数,LSAの相関関係を確認した.その後,LSAを従属変数とし,有意な相関関係にあり,多重共線性のない項目を独立変数 (平均歩数,最大歩行速度,BBS)とした重回帰分析 (ステップワイズ法)を行なった.統計解析には,SPSS Statistics28を用い,有意水準は5%とした. </p><p>【結果】</p><p> 対象は21名 (男性7名,女性14名)年齢71.4±21.2歳,BMI21.6± 3.2kg/㎡,算定疾患は脳卒中系5名,運動器疾患13名,廃用症候群3名であった.平均歩数は3,544.7±1,752.8歩,LSAは61.9±21.2 点であった. LSAと相関関係を認めたものは平均歩数,快適・最速の歩行速度 ,BBSであった. LSAを従属変数とした重回帰分析の結果,退院時歩数 (β=0.006, p<0.05),最速歩行速度 (β=23.4,p<0.05)が抽出された. </p><p>【考察・結論】</p><p> 退院後のLSAを従属変数とした重回帰分析の結果,入院中より歩数が多いことはLSAに影響を及ぼすとことが示唆された.LSAと最大歩行速度の関係は先行研究により報告されており,今回の結果と同様の結果が見られた.退院後の活動範囲の向上においては身体機能だけでなく,入院中から歩数という身体活動量についての視点を持ち,歩数の増加を促すことが退院後の生活範囲の拡大につながると考える. </p><p>【倫理的配慮】</p><p> 本研究は丸木記念福祉メディカルセンターの倫理審査委員会の承認を得て実施した(管理番号35)。対象者に本研究の概要と目的、個人情報の保護など十分な説明を行い、口頭及び書面にて同意を得た。</p>

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