要支援高齢者における社会的フレイルの有無による健康関連QOLの差異

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抄録

<p>【はじめに、目的】</p><p>要介護認定者は669万人を超え、その対応と介護費用は重要な課題である。社会的フレイルの予防と健康関連の生活の質 (Quality of life:QOL)の維持・向上は、高齢者ケアの目標である (Garre-Olmo,2013, 世界保健機関,2009)。しかし、社会的フレイルを有する要支援高齢者における健康関連 QOLに関する報告は極めて少ない。本研究の目的は、要支援高齢者における社会的フレイルの有無による健康関連QOLの差異を明らかにすることである。 </p><p>【方法】</p><p>デザインは、横断研究である。対象は、2022年10月 から2023年1月の間、デイサービス1施設にてリハビリテーションを受けた連続利用者90名である。取り込み基準は、要支援高齢者、歩行可能な者である。除外基準は、調査項目のデータ欠損者である。調査項目は、年齢、性別、要介護度、併存疾患、握力、歩行速度、片脚立位時間、5回椅子立ち座りテストである。健康関連QOLの指標にはEuroQol 5 dimensions 5-level (EQ-5D-5L)が用いられた (池田ら,2015)。社会的フレイルの判別について、我々は「独居である (はい)」「昨年に比べて外出頻度が減っている (はい)」「友人の家を訪ねている (いいえ)」 「家族や友人の役に立っていると思う (いいえ)」「誰かと毎日会話をしている (いいえ)」の 5 項目を調査し、2 つ以上の該当を社会的フレイル群とした (Makizako,2015)。統計学的手法には、対応のないt検定、マン・ホイットニーのU検定、χ2検定、共分散分析が用いられた。統計学的有意差の判定水準は5%未 満である。 </p><p>【結果】</p><p>社会的フレイル群 (n=27, 71%)は、非社会的フレイル群 (n=9)に比し、年齢、性別、BMIにて調整後のEQ-5D-5L(0.63 ±0.03 v.s. 0.84±0.06)は低値を示した(p <0.05)。 </p><p>【考察】</p><p>要支援高齢者の社会的フレイルの割合は71%であった。要支援高齢者において社会的フレイル群は、非社会的フレイル 群に比し、健康関連QOLは低値であることが示唆された。 </p><p>【倫理的配慮】</p><p>本研究は、計画立案に際し、令和健康科学大学の倫理委員会の承認を得ている (承認番号:22-009)。なお、本研究の参加者全てに対して、事前に研究の趣旨、内容及び調査結果の取り扱いに関する説明がなされ、書面にて同意が得られている。</p>

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