3年間の運動習慣は身体機能に影響を及ぼすか

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説明

<p>【はじめに、目的】</p><p> 運動習慣は生活習慣病の予防や身体機能の維持・ 改善のために 重要な働きをしていることは一般的に知られている。また我が国においては身体機能の衰えに起因するロコモティブシンドローム(以下、ロコモ)の予防が重要とされている。しかし、 中年 から高齢者を対象として複数年継続した運動習慣の有無と実際の身体機能やロコモテストを用いて比較検討した報告は少ない。そこで、当院人間ドックに継続受診した者において、 3年間以上の運動習慣がある群と3年間運動習慣が無い群に分けて身体機能とロコモについて比較検討することを目的とした。 </p><p>【方法】</p><p> 対象は当院人間ドックにてロコモ健診を受診した者のうち、 32歳から80歳の者(平均年齢は61.5±11.1歳、 男性64名、 女性20名)とした。3回目受診時に65歳以上(以下、 高齢群)と64歳以下 (以下、 中年群)へ分けて、 それぞれで運動習慣あり群と無し群に分けて比較検討を行った。運動習慣の有無に関しては、 週2回30分以上の運動を実施し、 3回の受診時に全て1年以上継続と回答した者を運動習慣あり群、 3回の受診時に全て運動習慣無しと回答した者を運動習慣無し群とした。 評価項目としては、 背景因子として年齢、 性別、 BMI、 腹囲、疼痛の有無、 運動習慣の有無を調査した。生化学検査値として 、 HbA1c、 中性脂肪、 HDLコレステロールを調査した。身体機能項目は、 歩行速度、 歩幅、 大腿四頭筋筋力(以下、 下肢筋力) 、 握力とした。ロコモの判定は2ステップテストまたは立ち上がりテストの結果から判断した。統計学的処理は、事前に各群間1年目のデータで運動習慣あり群と運動習慣無し群に群分けしてShapiro-Wilk検定にて正規性の検討を行った後に対応のないt検定またはMann-Whitney-U検定、 カイ二乗検定を行い、有意差が無いことを確認した。その後3年間の平均値を算出し、再度各群間において同様の統計処理を行った。統計学的有意水準は5%未満とした。 </p><p>【結果】</p><p> 中年群では運動習慣あり群と無し群においてロコモ度(1.0対 0.33)のみ有意差を認めた。高齢群では、右歩幅(63.1対58.3)、左歩幅(62.6対56.5)、 右下肢筋力(1.73対1.46)、左下肢筋力 (1.81対1.50)に有意差を認めた。 </p><p>【考察】</p><p> 運動習慣の有無は高齢群において、 下肢筋力や歩幅へ影響を及ぼしている事が示唆された。高齢者は一般的に活動量が低下するため、どのような種類の運動でも継続して行うことが重要である。 </p><p>【倫理的配慮】</p><p> 本研究はヘルシンキ宣言に基づき「人を対象とする医学研究に関する倫理指針」を遵守している。得られたデ ータは本研究の目的以外には使用せず、研究の結果を公表する際も被験者を特定できる情報は使用しない。また、本研究は当院臨床研究審査委員会における</p><p>【承認番号 4122号】</p><p>を取得している。自施設既存情報を用いる研究であるため、倫理指針に従って当院ホームページにて情報公開し、拒否機会を付与している。</p>

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