ロコモティブシンドロームとサルコペニアの有病率 :横断的研究

DOI
  • 佐藤 一樹
    釘宮整形外科リハビリクリニック リハビリテーション科 釘宮整形外科リハビリクリニック 通所リハビリテーション科
  • 河上 淳一
    九州栄養福祉大学 リハビリテーション学部 理学療法学科
  • 泉 俊司
    釘宮整形外科リハビリクリニック リハビリテーション科
  • 森 貴宏
    釘宮整形外科リハビリクリニック 通所リハビリテーション科
  • 宮﨑 大地
    釘宮整形外科リハビリクリニック リハビリテーション科
  • 釘宮 基泰
    釘宮整形外科リハビリテーションクリニック 整形外科

抄録

<p>【はじめに】</p><p> ロコモティブシンドローム(ロコモ)やサルコペニア(SP)は身体機能低下や要介護リスクの指標とされている.一般住民を対象としたロコモとSPの有病率を示した報告は散見されるが,整形外科受診者を対象とした報告は少ない.本研究は整形外科受診者におけるロコモとSPの有病率を明らかにし,当院通院患者の課題を把握することを目的にした. </p><p>【方法】</p><p> 対象は2015年4月から2023年1月の期間に当院を受診し,ロコモ予防目的の集団運動 (運動療法外来)に参加した者とした.除外基準はペースメーカーがある者とした. データは運動療法外来参加時の初回評価を使用した.ロコモ評価は日本整形外科学会の方法に従い,ロコモ度0-3の4段階とした.SPの評価は AWGS(2019)を参考に握力,SMI,TUGにて行った.サルコペニア なし(non),軽度(pre),サルコペニア(sp),重症(sev)の4段階とした.ロコモとSPの有病率,各ロコモ度におけるSPの有病率を算出した. </p><p>【結果】</p><p> 対象者は,包含基準を満たした者が359名で,除外基準を満たした者が3名,データ欠損が50名であり,最終的に306名となった.ロコモの結果は(ロコモ度0:15.7%, 1:40.8%, 2:21.9%, 3:21.6%) であった.SPの結果は(non:59.5%, pre:30.4%, sp:10.1%, sev:0%)であった.各ロコモ度におけるSPの有病率は(ロコモ度0 pre:22.9%, sp:6.3%),(ロコモ度1 pre:30.4%, sp:4.8%),(ロコモ度 2 pre:16.8%, sp:8.0%),(ロコモ度3 pre:34.8%, sp:18.1%)であった. </p><p>【考察】</p><p> ロコモ度はロコモ度1の有病率が高く(40.8%),spの有病率は 10.1%であった.各ロコモ度においてspの有病率はロコモ度3で高く(18.1%),ロコモ度1で最も低い値 (4.8%)となった.一般住民を対象としたROADスタディと当院のデータを比較するとロコモ度1の有病率は低く,ロコモ度2以上の有病率は高かった.このことは当院の整形外科受診者の方が身体機能の低下が認められていることが考えられる.ロコモ度におけるspの有病率は,ロコモ度が高くなるとspの有病率も高くなると予測される.しかし,ロコモ度0においてもspは存在しており,予後予測や介入内容は慎重に検討する必要がある事が考えられた. </p><p>【倫理的配慮】</p><p> 本研究は倫理的配慮に注意し,個人のプライバシ ーが特定できる内容は記載していない.</p>

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