当院回復期リハビリテーション病棟における入棟時FIMと転倒の関係と特徴

DOI
  • 福永 将大
    社会医療法人 緑泉会 米盛病院 リハビリテーション課
  • 松下 弘毅
    社会医療法人 緑泉会 米盛病院 リハビリテーション課
  • 花北 悠利
    社会医療法人 緑泉会 米盛病院 リハビリテーション課
  • 生駒 成亨
    社会医療法人 緑泉会 米盛病院 リハビリテーション課

抄録

<p>【はじめに、目的】</p><p>当院では転倒リスクを転倒アセスメントスコアで評価しているが、転倒転落を起こしやすいレベルⅡ以上の患者が約90%であり、効率的な転倒リスクの評価が必要だと感じた。先行文献では回復期入棟時のFIMや改善度で転倒リスクを評価していたが、脳血管に限定した報告が多く、整形疾患が多い当院回復期病棟では使用困難であると感じた。FIMの改善度が転倒に関係するのであれば歩行状態も考慮すれば転倒リスク予測の一助になるのではないかと考え、後方視的に評価が可能なFACも評価することとした。そこで、回復期入棟時FIMの運動項目・認知項目・総得点と入院前・入棟時・転倒時の FACを分析し、転倒リスクの評価につながる項目の検討と整形疾患の多い当院回復期病棟の特徴を示すことを目的として本研究を行った。</p><p>【方法】</p><p>2020年の1年間で当院回復期に入棟した患者の中で、転倒した90例(男性30例女性60例)と非転倒患者の中からランダムに選択した97例(男性39例 女性58例)を調査対象とした。調査項目は年齢、性別、疾患、回復期入棟時FIMの運動項目・認知項目・総得点、入院前・入棟時・転倒時のFACとした。転倒群と非転倒群における差を対応のないt-検定とx2検定、 Mann-WhitneyU検定で実施した。転倒の有無に関係する項目を分析するためにロジスティク回帰分析を行った。有意水準は 5%未満とした。</p><p>【結果】</p><p>転倒群と非転倒群での比較で病型と全てのFIM、FACに有意な差を認め、年齢、性別は有意差を認めなかった。ロジスティク回帰分析の結果は回復期入棟時FIMの運動項目のみが転倒の有無に関してオッズ比(0.959)となった。(p<0.05)。またカットオフ値:64.0 (点)という結果が得られた (AUC: 0.716)(95% CI: 0.6434-0.7892)。</p><p>【考察】</p><p>本研究の結果より、本院回復期患者で回復期入棟時におけるFIMの運動項目が転倒リスクの指標の1つとなり、カ ットオフ値は64点であることが示唆された。FIMの運動項目については先行研究で示されているスコアと著変無く、脳血管疾 患・整形疾患ともに使用出来る可能性が考えられた。</p><p>【結論】</p><p>当院回復期でのFIMの運動項目が転倒リスクの指標の 1つとなり、カットオフ値は64点であることが示唆された。</p><p>【倫理的配慮】</p><p>本研究は公益社団法人理学療法士協会が定める 「倫理規定」および「職業倫理ガイドライン」、文部科学省ならびに厚生労働省の「人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理方針」を遵守しています。</p>

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