地域ケア会議を活用して住民主体の介護予防活動へと至った経験-専門職支援の在り方に関する考察-

DOI
  • 千葉 望
    社会福祉法人 札幌市社会福祉協議会
  • 福嶋 篤
    一般社団法人 北海道リハビリテーション専門職協会 公益社団法人 北海道理学療法士会

抄録

<p>【はじめに、目的】</p><p> 自治体が実施する介護予防事業において、住民主体の活動支援は重要な取り組みテーマである。今回、独居高齢者に向けたフレイル予防に関する地域ケア会議 (以下、ケア会議)の場で、関係機関と協働することで住民主体の取り組みにつなげることができた。その経験から、住民自身がフレイルに該当する可能性を把握し、主体的な介護予防に取り組むための専門職支援の在り方を考察することを目的とした。 </p><p>【方法】</p><p> 地域の独居高齢者のフレイルの状態を把握すべく、簡易フレイ ルインデックスを用いて調査を実施した。その結果をケア会議の事前準備会議 (以下、準備会)で関係機関と共有し、課題抽出 と解決策としてのフレイル予防の取組内容を検討した。併せて、主体的な活動につなげるために住民に対するフィードバック方法を検討した。その後、住民を交えたケア会議を開催し、フレイル予防のための地区活動の実施方法を協議した。 </p><p>【結果】</p><p> 調査票対象者99名のうち25名から回答があり、欠損がなかっ た22名を分析対象とした。簡易フレイルインデックスの結果、フレイルは4名、プレフレイルは13名、ロバストは5名であった。フレイル4名全員が体重減少と歩行速度低下の項目に該当していた。また、プレフレイルにおいても11名が歩行速度低下項目に該当していた。これらの結果を踏まえて、準備会で議論した結果、「栄養摂取量の不足による体重減少やサルコペニア、それに伴う歩行能力の低下」への対策が必要と考察し、専門職による講話や運動機会の増大を取組内容として想定した。ただし、その後の住民を交えたケア会議では課題の投げかけに留めることとし、取組内容は住民自身に考えてもらう方針とすることを関係機関と共有した。ケア会議の場では、住民から「栄養士を講師に招いた調理活動と栄養講話」「運動サロンの実施回数の増加とウォーキングプログラムの追加」が提案された。提案に対し関係機関からは、地区活動に対する専門職派遣や、活動継続のための後方支援を提案し、翌年度の取り組みに反映することとなった。 </p><p>【考察】</p><p> 専門職が率先して解決策を提案して取り組みを進めていくのではなく、住民が主体的に課題に取り組むための機会の設定や、住民自身の取り組み内容を評価し必要な支援を行うことが、地域における専門職の姿勢として重要である。 </p><p>【倫理的配慮】</p><p> 調査は無記名で行い、個人が特定できないよう努めた。また発表に際し、地域住民に発表の趣旨を口頭で説明し同意を得た。</p>

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