地域包括支援センター主催による認知症予防教室の実践報告

DOI
  • 藤曲 利弘
    松戸市立総合医療センター リハビリテーション科
  • 坂本 和哉
    松戸市立総合医療センター リハビリテーション科
  • 野代 小春
    社会福祉法人 貴陽福祉会 松戸市東部地域包括支援センター

抄録

<p>【はじめに】</p><p>千葉県松戸市では令和4年12月の人口統計におい て、高齢者人口が12.5万人を数え、高齢化率は25%を超える。平成30年度の松戸市認知症研究会の資料では、市内要介護・要支援認定者のうち認知症高齢者日常生活自立度Ⅱ以上は1.1万人を超えており、今後更なる増加が予想される。厚生労働省の掲げた認知症施策推進総合戦略「新オレンジプラン」の中では、認知症への理解を深めるための普及・啓発の推進を謳っている。そこで、松戸市では市内16か所の高齢者いきいき安心センター (以下地域包括支援センター)において、市内在住の概ね65歳以上の方を対象に、地域の特性に合わせた内容で認知症予防教室を開催している。その教室においてリハビリテーション専門職 (以下リハ専門職)が関わる機会を得たのでここに報告する。</p><p>【実践内容】</p><p>認知症予防教室は全2-3回コースを年2度開催され、令和3年と4年に地域包括支援センターからリハ専門職へ「運動 」をテーマとした講師依頼があった。1年に2回、計4回の講演 を行った。運動の内容は担当者とメールにて打ち合わせを行い、令和3年は「ウォーキング」、令和4年は「自宅でできる介護予防の運動」を取り上げ、各回70分程度で講義と実技を対面にて実施した。令和4年開催時は教室終了後にアンケート調査を行った。</p><p>【結果】</p><p>各回参加者は50代から80代の15名程度であり、アンケート回収率は93%であった。受講満足度は78%であり、 「運動を毎日続けていきたい」、「自治会で皆と一緒にやり、 楽しみたい」との意見が聞かれた。生活の中で取り入れられそうと感じたこととして、「ストレッチ」や「日常的に体操」との自由記載があった。また、認知症予防の興味あるテーマとして「体操」が50%挙げられていた。</p><p>【考察】</p><p>リハ専門職が講演を行うメリットとして、臨床経験に基づく講義だけでなく実技を交えられることにあると感じた。実際に一緒に体を動かすことにより、参加者の満足が得られ、理解やモチベーションの向上にもつながったと考える。地域の方々からも運動に関する講演の要望が潜在的に高いことも分かり、有意義な活動であった。最後に、地域包括支援センターの方々の協力があることで、開催や運営が非常にスムーズにできた。地域包括ケアシステムの中で医療機関と地域を結ぶ大切な機会であったと捉えられる。 </p><p>【倫理的配慮】</p><p>本実践報告は個人情報が特定されないよう十分配慮し、更にアンケート調査も匿名で行った。</p>

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ