当通所リハビリで心身機能の低下に関与する因子とは -4年間の経過を後ろ向き調査-
抄録
<p>【はじめに、目的】</p><p> 当通所リハビリテーション (以下、デイケア)では、3ヶ月に1回リハビリ会議を多職種で実施し、心身機能の変化を記録している。心身機能の変化は、Barthel Indexの様な点数付け以外の、自宅での生活状況の変化や送迎時の動作・所要時間・介助量の変化、排泄・入浴動作の介助量の変化、コミュニケーション能力の変化、活動量の変化など、多岐にわたる。経過の中で心身機能に低下を来たす利用者も少なくない。デイケアにおける心身機能の変化を調査している研究は散見される程度であり、症例数も少ない。心身機能の低下を来たす要因を明確にすることは、利用者の心身機能を維持する一助になる。 今回の目的は、①年齢、②要介護度、③疾患、④施設内移動手段、⑤新型コロナウイルス (利用控えや外出控えによるフレイル)、⑥利用期間の6項目の中で、心身機能低下と関連する因子があるか検討することである。 </p><p>【方法】</p><p> 1,対象 </p><p>2019年4月から2023年4月までに当デイケアに登録のあった 593名を対象とした。 </p><p>2,方法 </p><p>リハビリ会議時の心身機能の変化を総合的に判断し、維持また は低下で評価した。評価結果をもとに、2019年4月以降で低下した利用者 (以下、低下群)とその他利用者 (以下、維持群)の割 合を求めた。①年齢、②要介護度、③疾患、④施設内移動手段、 ⑤新型コロナウイルス、⑥利用期間の6項目で低下群と維持群での傾向を比較した。 </p><p>【結果】</p><p> 心身機能の変化 (リハビリ会議時点での登録者数に対する割合) は、2019年4月では維持群が82.26%、低下群が17.74%であり、 2023年4月では維持群が72.53%、低下群が27.47%であった。 ①年齢は低下群で70歳以上では約11%、80歳以上では約6% 多かった。②要介護度に著明な差はなかった。③疾患は低下群で中枢神経疾患+骨関節疾患が約5%多かった。④施設内移動手段は低下群で車椅子使用の割合が約10%多かった。⑤新型コロナウイルスによる影響はなかった。⑥利用期間は低下群で4年以上の割合が約10%高かった。 </p><p>【考察・結論】</p><p> 低下群では施設内移動手段が車椅子である割合が約10%高かったことから、活動量の低下が心身機能の低下に繋がっている可能性が考えられた。その他で年齢や疾患、利用期間による差も認められたが、デイケアとして予防可能な要因としては移動手段であるため、改めて活動量を維持する為の取り組みが、心身機能の維持には重要であることが示唆された。 </p><p>【倫理的配慮】</p><p>本研究は、当法人臨床研究委員による承認を得ている。</p>
収録刊行物
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- 日本予防理学療法学会 学術大会プログラム・抄録集
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日本予防理学療法学会 学術大会プログラム・抄録集 2.Suppl.No.1 (0), 312-312, 2024-03-31
日本予防理学療法学会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390862623770955264
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- ISSN
- 27587983
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用可