勤労世代の生活習慣と下肢筋力

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抄録

<p>【はじめに、目的】</p><p>一般的に体力は30歳代でピークレベルに達し、男女共に加齢に伴い直線的に低下する。加齢に伴う運動器の機能低下は下肢筋力の低下をもたらす。健康寿命を延伸するためには、運動器の機能や下肢筋力の維持が必須である。しかしながら、運動習慣・体力 (筋力)に関する研究は高齢者を対象とするものがほとんどであり、勤労世代を対象とした研究は非常に少ない。ここでは、勤労世代の生活習慣、体力について検討した。</p><p>【方法】</p><p>T市にある「子育て支援のための施設」の来館者に生活習慣に関する質問紙と体力測定を行った。研究参加者は、男性26名、女性51名、未記入1名合計78名、平均年齢は40±10歳であった。調査期間は、2021年10月から12月である。体力測定項目は、ロコモ度テスト、握力、足趾把持筋力、股関節内筋力、外転筋力である。足趾把握筋力の測定は、足指筋力測定器 (竹井機器工業社)を使用して、椅子座位姿勢で、把持バーを一番握りやすい位置に設定し測定した。股関節内転筋力、外転筋力の測定には、股関節内外転筋力測定器 (竹井機器工業社)を使用し、椅子座位姿勢で測定器を大腿部に挟み、一番筋力が発揮しやすい位置に設定し測定した。握力、足趾把持筋力、股関節内筋力、外転筋力は左右各2回測定し、それぞれの平均値を測定値とし、比較には各測定値の中で最大値を利用した。</p><p>【結果】</p><p>現在の健康状態については、女性では81%、男性では 92%が良いと回答したものの、現在の日常の運動に関しては、女性で96%、男性で84%が不足していると回答した。ロコモ度テストのうち、立ち上がりテストでは、20cm台からの片脚立ちが両方の脚で可能であったものは、男性で54%、女性で17%であった。男性の握力は42.7±5.0㎏、足指把持筋力17.1± 5.7kg、股関節内転筋力26.6±8.6kg、股関節外転筋力34.3± 9.2㎏、女性ではそれぞれ26.3±6.0㎏、11.0±4.3kg、16.0± 7.3kg、20.8±8.1㎏であった。握力、下肢筋力共に、年代が上がるごとの筋力測定値に有意差は認めなかった。握力と下肢筋力との相関係数は、足趾把持筋力r=0.68、股関節内転筋力 r=0.80、股関節外転筋力r=0.83であった。</p><p>【結論】</p><p>今回の研究協力者においては、年代による筋力低下は認めなかったものの女性で運動器の機能低下が示唆された。男女共に握力が強いと下肢の筋力も強い傾向がみられた。 この研究は、令和3年度 豊橋市大学研究活動費補助金を受けて行った。</p><p>【倫理的配慮】</p><p>本研究は、豊橋創造大学大学院の倫理審査委員 会の承認を得て実施したものである (承認番号H2021006)。本 研究の対象者には書面にて研究目的および内容について説明し、同意を得て実施した。</p>

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