コロナ禍の大学生における体組成と運動機能の調査 -高齢者ロコモの基準を用いた検討-

DOI
  • 峰久 京子
    大阪河﨑リハビリテーション大学 リハビリテーション学部
  • 岡 健司
    大阪河﨑リハビリテーション大学 リハビリテーション学部
  • 中村 美砂
    大阪河﨑リハビリテーション大学 リハビリテーション学部
  • 野村 和樹
    大阪河﨑リハビリテーション大学 リハビリテーション学部

抄録

<p>【はじめに、目的】</p><p> 近年、若者の運動習慣は男女ともに減少傾向にあり、体力水準の低下や、高齢者向けのロコモテストで陽性を示すケースも報告されてきた。本研究は、コロナ禍にある大学生の体組成、運動機能、身体活動量を調査し、高齢者のロコモやサルコペニアならびに子どもロコモの基準を用いて検討することを目的とした。 </p><p>【方法】</p><p> 対象は本研究に同意を得た大学生53名 (男性37名、女性16名、 20.7±0.9歳)とした。調査期間は2022年5月から2023年3月と し、調査項目はInBody270で計測した体組成 (体重、体脂肪率、骨格筋指数 (SMI)、骨格筋率)、運動機能 (握力、ロコモ度テスト (立ち上がりテスト、2ステップテスト)、子どもロコモチェック)、身体活動量 (IPAQ-SV日本語版)であった。ロコモ度テストが1項目でも20代基準値を満たさなかった者を高リスク群 (男性19名、女性6名)、どちらも満たした者を低リスク群 (男性 18名、女性10名)に分類した。統計解析にはSPSS ver.28を用い、男女別に2群間での体組成、運動機能、身体活動量の各項目を Mann-WhitneyのU検定で比較した (有意水準5%)。 </p><p>【結果】</p><p> 2群間において男性では高リスク群に体脂肪率が高く (p<0.001)、骨格筋率は低かったが (p=0.002)、女性では高リスク群に握力が低い (p=0.022)以外に群間に差はなかった。両群合わせて高齢者のロコモ度1以上やサルコペニアに該当した者はなかったが、SMIがAWGS2019基準値未満を示したものが男性7名 (13.5%)、女性9名 (56.2%)おり、子どもロコモには男性 15名、女性6名が該当した。 </p><p>【考察・結論】</p><p> 男性では高リスク群は体脂肪率が高く骨格筋率が低かったが、女性では握力のみに差が見られ、体組成と運動機能の関係に性差がみられた。女性は男性より体脂肪率が高く骨格筋率が低いといった身体特性の影響が考えられた。男女ともに身体活動量は群間で差がなく、体組成や運動機能との関係性は明らかにならなかった。しかし、男性の5割、女性の4割が年代相当の脚力や歩幅を持たず、男性1割、女性5割が骨格筋量の減少を示したことは先行研究と比較すると深刻な状況であり、2020年から始まったコロナ禍による身体運動・スポーツの機会の激減の影響も考え得るため、より詳細な調査が必要と考えられた。 </p><p>【倫理的配慮】</p><p>本研究は大阪河﨑リハビリテーション大学研究倫理審査委員会の承認 (OKRU-RA0008)を得て実施した。ヘルシンキ宣言に基づき、対象者には研究について文書と口頭にて説明し、書面にて同意を得た。</p>

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