医療従事者におけるeラーニングを活用した腰痛教育の効果 -愛知県理学療法士会と協同で実践した腰痛対策-

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Abstract

<p>【目的】</p><p> 腰痛対策において、教育と運動を併用した集学的アプローチの有効性が示されている。近年、健康教育としてeラーニングを活用した研修スタイルが広がっているが、腰痛に関する健康教育単独の介入効果は明確になっていない。今回我々は、eラーニングによる腰痛教育が健康意識、行動および労働生産性に及ぼす影響を明らかにすることを目的とした。 </p><p>【対象と方法】</p><p> 病院に勤務する職員を対象とし、愛知県理学療法士会と安全衛 生委員会の協同による10週間の腰痛対策プログラムを実践した。 </p><p> 1. ベースライン調査 </p><p>Google formsで調査票を作成し、QRコードを読み取り回答してもらった。調査項目は、基本属性、腰痛に関する質問 (腰痛の有無、期間)、仕事パフォーマンス (WHO Health and Work Performance Questionnaire)、行動変容ステージとした。 </p><p> 2. 腰痛対策プログラム </p><p>(1)腰痛予防に関する動画30分 (オンデマンド配信) </p><p>(2)腰痛情報コンテンツ配信 (非同期型eラーニング) eラーニングによるコンテンツ配信は、業務の合間に閲覧できるように電子カルテ掲示板に表示し、1コンテンツ3分程度の内容にした。1週間に1回の配信を計8週間実施した。</p><p> 3. 介入後のアンケート調査 </p><p>調査項目は、健康意識・行動の変化、腰痛改善度、行動変容ステージ、仕事パフォーマンスとした。介入前後で対応しているデータに関して、行動変容ステージ及び仕事パフォーマンスの前後比較を行なった。統計処理はウィルコクソン符号化順位検定を実施し、有意水準は5%未満とした。 </p><p>【結果】</p><p> ベースライン調査 (n=237) における、腰痛の有訴率は48.5%であり、そのうち慢性腰痛者は84.3%であった。介入後の調査 (n=182)において、腰痛改善率は20.3%となり、健康意識の変化が89.0%、健康行動の変化が69.8%にみられた。介入前後の行動変容ステージは有意差を認めなかったが、仕事パフォーマンスは、介入前の値と比較し介入後の値が有意に向上した (p< 0.01)。 </p><p>【考察】</p><p> 腰痛教育による腰痛対策プログラムが健康意識・行動を高めることが明らかになった。また、腰痛改善および仕事パフォーマンスの向上を認め、健康教育介入の有効性が示唆された。愛知県理学療法士会と協同で実践したことで、研修業務の効率化を図り、効果的で汎用性の高い腰痛対策プログラムを構築、展開することができた。 </p><p>【倫理的配慮】</p><p>本研究はヘルシンキ宣言に則り、対象者に研究の目的、調査内容、参加は自由意志であること、個人情報の保護について調査コンテンツに載せ、同意をした上で回答してもらった。得られた情報は、個人情報が特定できないように十分配慮し、パスワード管理されたパソコン内でデータ管理を行った。尚、本研究は、JA愛知厚生連足助病院倫理委員会の承認を得た (承認番号T21-003)</p>

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