リハビリテーション専門職の身体活動量調査

DOI
  • 細井 匠
    医療法人社団 総合会 武蔵野中央病院 リハビリテーション科

抄録

<p>【はじめに、目的】</p><p>リハビリテーション専門職 (以下、リハ職)は、日々対象者の健康の回復と増進を目指して運動の重要性を説くことも多い。しかし、リハ職自身は十分な身体活動量を確保できているのだろうか?本調査はリハ職がどの程度の身体活動を行えているか調査し、リハ職自身の健康増進に寄与することを目的に実施した。 </p><p>【方法】</p><p>対象は主に東京都下,K市,N市,H市で勤務するリハ職である。方法は質問紙を作成し、Googleフォームで2023年2月に回答を得た。調査内容は,職種、勤務先、性別、年齢、身長、体重、GPAQ (Global Physical Activity Questionnaire:世界標準化身体活動質問票)、コロナ禍が身体活動量に与えた影響、今後の身体活動量に関する希望である。 </p><p>【結果】</p><p>52名 (男性36名,女性16名、平均年齢34.4±8.2歳、 BMI22.3±4.2)から回答を得た。職種は理学療法士36名、作業 療法士15名、言語聴覚士1名で、勤務先は医療施設41名、社会福祉施設2名、教育・研究施設9名であった。1週間の身体活動量の平均値は1748.2±2051.6 (METs min/週)で、そのうち仕事中では平均496.7±1251.8 (METs min/週)、移動では平均 520.4±589.2 (METs min/週)、余暇時間では平均731.2± 1059.3 (METs min/週)の身体活動量であった。1週間の身体活動量が世界保健機構の勧告する最低限の活動量600 (METs min/週)に達しない者は14名 (26.9%)で、厚生労働省が推奨する23エクササイズ (メッツ・時/週)に達しない者は28名 (53.8 %)であった。コロナ禍が身体活動量に与えた影響は「特に変 化はない」という回答が19名 (36.5%)と最も多く、「低下し、低下したままである」が15名 (28.8%)であった。今後の身体活動量に関する希望では、「現状を維持したい」が22名 (42.3%)、 「増やしたい」が30名 (57.7%)であった。 </p><p>【考察】</p><p>対象となったリハ職の約半数が十分な身体活動量を確保出来ていないことが示唆された。今後は、他者に運動の重要性を説く前に、自らの身体活動量を見直す必要性があると思われる。 </p><p>【結論】</p><p>リハビリテーション専門職の身体活動量は十分とは言えず、意識的に身体活動量を高める工夫が必要である。 </p><p>【倫理的配慮】</p><p>依頼文にて本調査の趣旨を説明し、同意を得て実施した。回答者の匿名性は保たれており、個人が特定できないよう配慮した。</p>

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