姿勢評価を用いた一次予防領域への介入

DOI
  • 藤田 由貴子
    医療法人社団山斗会 山中整形外科内科クリニック リハビリテーション科
  • 尾﨑 智之
    医療法人社団山斗会 山中整形外科内科クリニック リハビリテーション科

Abstract

<p>【はじめに、目的】</p><p> 労働衛生の基本となる考え方に作業管理・作業環境管理・健康管理の三管理がある。その中でも、健康管理の一次予防領域への理学療法士の関与も期待されている。 日本理学療法士協会と厚生労働省の間では腰痛予防に対する話し合いが行われている。姿勢と腰痛は密接な関係にあり、脊柱アライメントをみていくことがタイプの分類と、発症予防に役立つとされており、個人の姿勢評価の重要性は高い。専門知識の少ない一般の労働者が自身の姿勢から自身の身体に合った運動やストレッチの選択は難しい。そこで姿勢評価という観点からの介入により、自身の姿勢に対する意識変化が起こるかを調査し、また、その介入内容に対する総合満足度を調査し、実施内容と満足度の相関を求めることとした。 </p><p>【方法】</p><p> 対象は、医療法人社団山斗会の系列の介護・保育施設で働く、同意を得られた職員26名とした。方法は、前額面と矢状面の骨盤の前後傾、腸骨稜の高さと胸腰椎のアライメントを評価し、独自の姿勢チェックシートを作成、個人に合わせたストレッチ方法や運動方法をフィードバックするというものである。本研究はアンケート用紙を用いて、今回の介入に対する満足度と姿勢に対する意識の変化を調査した。介入実施期間は2022年9月 1日から2022年12月31日とした。意識の変化に対しては、正規性の検定をした上で、ノンパラメトリックデータの検定と判断し、Wilcoxsonの符号付順位和検定を用いた。有意水準は5 %未満とした。満足度については、総合満足度と各項目に対し、スピアマンの相関分析を行った。 </p><p>【結果】</p><p> 意識の変化は介入前後で、有意に変化が認められた(p<0.05)。総合満足度と各項目の相関は、評価時間とフィードバックにかかる時間が低く、それ以外の項目には中等度の相関が認められた。比較的高めの相関があったのは、報告シートと口頭による説明であった。 </p><p>【結論】</p><p> 企業における腰痛予防は、一人一人の行動変容が大切であると言われている。今回の介入で、個人に対する介入により、運動への行動変容に繋がる第一歩目の意識変化が有意にみられた。特に自分自身に関する姿勢評価やそれに合ったストレッチや運動の詳しい説明を受けることで、従業員が満足し、姿勢改善や運動へのモチベーション向上を高められることが示唆された。これからも意識変化が生じた後の継続的かつ定期的な介入が必要である。 </p><p>【倫理的配慮】</p><p>本研究は、ヘルシンキ宣言および人を対象とする医学系研究に関する倫理指針に基づき、対象者のプライバシーおよび個人情報の保護、研究内容について十分に説明し対象者から同意を得た。</p>

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