地域在住高齢者へのフォトボイスの活用

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抄録

<p>【はじめに、目的】</p><p>高齢者ができるだけ自立し長く自分らしく生活するためには、心身機能の改善だけではなく、日常生活の活動を高め,家庭や社会への参加を促すことにより一人ひとりの生きがいや自己実現を支援して生活の質の向上を目指す介護予防が重要である。そこで、フォトボイスを用いて高齢者自身が必要なことに気づき、主体的に選択した活動を継続し、生活機能の維持・向上を図る介護予防プログラムを開発することとした。 </p><p>【方法】</p><p>フォトボイスとは、参加者が撮影した写真とそれにつ いての自身の語りを題材にしたグループでの対話をとおして問題解決のための行動を促す手法 (Wang& Burris,1994, 1997)である。開発したプログラムは、各回のテーマに沿って 参加者が撮影してきた写真を見ながらグループで対話するものである (計8回)。初回に写真撮影の留意事項、対話のルール等を共有した。各グループにファシリテーターを配置した。各回のテーマは例を参考に各グループで決めた。要介護認定を受けていない高齢者を、このフォトボイス群 (23名)と健康関連の講話を聴講 (計8回)する講和群 (28名)に無作為に割り付け、ベースラインと終了後に自記式調査用紙により健康状態や生活機能等の変化を調査し反復測定による共分散分析を行った。また、終了後に両群別々にFocus Group Interview(以下FGI)を行い質的統合法 (KJ法)により分析した。 </p><p>【結果】</p><p>認知機能の主観的変化、歩行意欲時間に交互作用が見られ、フォトボイス群で維持・ 向上した。FGIではフォトボイス群で『交流の成果』『問題意識の深化』『内なる力の変化』 『生活への活用』『地域活動への活用』が示された。 </p><p>【考察】</p><p>フォトボイス群ではエンパワメントが生じていること が示され、生活機能の維持・向上も質的評価で明らかになった。 </p><p>【結論】</p><p>フォトボイスを用いた介護予防プログラムは、専門家が知識を伝達・ 指導するのではなく、参加者同士の相互作用により当事者自身が望ましいと思う活動の選択を促し、高齢者をエンパワメントし、生活機能の維持・向上につながることが示唆された。 </p><p>【倫理的配慮】</p><p>旭川医科大学倫理委員会の承認を得た (承認番号:17252番)。対象者には、研究の趣旨、参加の任意性と撤回可能期間、匿名性の確保、データの厳密な管理等について口頭と文書で説明し、同意書に署名を得た。</p>

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