舌骨上筋群の筋活動を効果的に導く頭部挙上方法の検討

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抄録

<p>【はじめに、目的】</p><p> 舌骨上筋群の筋活動向上方法の1つに頭部挙上訓練 (シャキア法 )がある.頭頸部の挙上すなわち矢状面での屈曲運動は運動学的に頭部屈曲,頸部屈曲,頭頸部屈曲の3種類があるが,3種のどれが有効か明確ではない.そこで,3種の屈曲運動時の舌骨上筋群ならびに胸鎖乳突筋筋活動への効果を比較検討した. </p><p>【方法】</p><p> 対象は65歳以上の高齢者25名とした.除外基準は,神経疾患の既往歴がある者,頸部・脊柱に著明な関節可動域制限や痛みを有する者,摂食嚥下機能に問題を有する者,口頭指示が理解できない者とした.課題は,頭部屈曲運動,頸部屈曲運動,頭頸部屈曲運動の3種類とした.被検筋は舌骨上筋群に加え,頭部挙上時にも活動する胸鎖乳突筋の2筋とし,表面筋電図を用いて筋活動を計測した.各課題2回計測し,1回ごとに30秒間の休憩をとった.また,課題ごとに5分間の休憩をとった.課題の順番はランダムに実施した.各課題の解析区間は挙上が安定してからの3秒間とし,各筋群の原波形を整流後,3秒間の平均振幅を求めた.2回の平均値のうち値が大きい方を代表値とした.頭部屈曲運動時の値を100 % と規定して頸部屈曲運動時と頭頸部屈曲運動時の筋活動の割合 (%)を求めた.各課題時の筋活動をFriedman検定にて検討した.有意水準は5 % とした. </p><p>【結果】</p><p> 舌骨上筋群は頭部屈曲100%,頸部屈曲68.8%[51.7%-97.8%], 頭頸部屈曲64.4%[46.8%-95.6%] (中央値[四分位範囲)であった.頭部屈曲は頸部屈曲,頭頸部屈曲よりも有意に筋活動が高かった.胸鎖乳突筋は頭部屈曲100%,頸部屈曲 173.3%[105.9%-255.0%],頭頸部屈曲 144.3%[118.0%-255.0%]であった (中央値[四分位範囲]).頭 部屈曲は頸部屈曲,頭頸部屈曲よりも有意に筋活動が低かった. </p><p>【考察】</p><p> 頭部屈曲運動が最も効果的な頭部挙上方法であった.当日は介入研究の結果なども踏まえて舌骨上筋群の機能低下を予防するアプローチについて議論できればと存じます. </p><p>【倫理的配慮】</p><p>対象者には事前に口頭および書面にて十分な説明を行い,書面による同意を得たうえで実施した.なお,本研究は葛飾リハビリテーション病院倫理委員会での承認 (承認番号32)を得たうえで実施した.</p>

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