運動器疾患を主たる予防目的とした地域住民コホートROAD

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  • 吉村 典子
    東京大学 医学部附属病院22世紀医療センターロコモ予防学講座

抄録

<p>日本人の平均寿命は過去60年で約30年延伸したが、要介護の問題をクローズアップさせる原因ともなった。厚生労働省国民生活基礎調査の概況をみると、要介護になった理由について、 2016年に認知症がはじめて脳卒中を抜いて1位となって以来、認知症、脳卒中、高齢による衰弱、骨折・転倒、関節疾患の順で固定化してきており、要介護への移行を食い止めるには、運動器疾患の予防が重要であることは明らかである。 これら運動器疾患の効果的な予防のためには、まずそれらの疫学指標(有病率、発生率、自然経過、予後)を同定し、危険因子を解明する必要があるが、症状が乏しい初期の時期では医療機関調査で実態を捉えることは出来ない。従って一般住民を対象として集団を設定し調査追跡を行うコホート研究が重要となってくるが、運動器疾患を予防ターゲットとしたコホート研究は国内のみならず国際的にもまだ多いとは言えない。 我々は、主として運動器疾患の基本的疫学指標を明らかにし、その危険因子を同定することを目的として、2005年より大規模住民コホートROAD (Research on Osteoarthritis /osteoporosis Against Disability)スタディを開始した。今回、 ROADスタディの最新データ解析結果から運動器疾患の疫学指標の推定や、コホートの利点を生かした他の運動器疾患との相互関連について検討したので報告する。 </p><p>【倫理的配慮】</p><p>本研究は東京大学倫理委員会の承認を得ている (承認番号1264、1326)。研究参加者には書面で同意をとっている。</p>

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