通信社と広告会社の一体経営

DOI
  • 片山 郁夫
    立教大学大学院ビジネスデザイン研究科特任教授

書誌事項

タイトル別名
  • Integrated Management of a News Agency and Advertising Firm: Purpose Management as Envisioned by Hoshio Mitsunaga, Founder of Dentsu, Inc.
  • ―電通創業者光永星郎が構想したパーパス経営―

抄録

<p>現代はVUCA(変動性、不確実性、複雑性、曖昧性)の時代と呼ばれ、社会全体の先行きが不透明で予測困難であるとされる。そのため、社会全体として持続可能性(サステナビリティ)が課題とされ、企業にはパーパスを起点とした企業価値創造が期待されている。</p><p>本稿では、電通の創業からの発展と創業者光永星郎の企業家活動にフォーカスすることで、現代企業におけるキーワードであるパーパス経営について考察する。光永は1901(明治34)年に電通(日本広告・日本電報通信社)を設立し、通信社と広告会社の兼業ビジネスを開始した。当時は、通信社も広告会社も事業経営が不安定で、特に広告会社は営業手法の未熟さゆえに社会的地位が低かった。そのような時代に創業した電通の発展プロセスと光永の経営哲学である「臥薪嘗胆」、「広告会社の近代化を目指した社是」、「信条『健・根・信』」を踏まえると、光永が志向したパーパスは「通信・広告の力で世界に正確な情報を迅速に届ける」ことだったと考えられる。</p><p>現代企業にとって、パーパス経営は企業経営上の重要な概念であり、企業は自社の存在意義を問い直し、パーパスを社会的な関わりの中でしっかりと位置づける必要がある。今後多くの企業が本質的な意味でのパーパス経営を実践するためには、電通で見られたように経営理念や経営哲学など創業以来の歴史的背景を踏まえて、従業員をはじめとするステークホルダーの共感を得ることが重要であろう。</p>

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390862623771154304
  • DOI
    10.24677/riim.21.0_15
  • ISSN
    24336971
    13492233
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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