「古物」と「文物」のはざまで

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タイトル別名
  • 中国民俗学史における「物」へのまなざし(1923―1982)

抄録

本稿は従来の民俗学研究者たちが等閑視した「物」に注目し、中国民俗学の歴史を問い直す。時間軸に 沿って、「風俗物品」「民俗文物」といった二つの用語を切り口に、1923年の北京大学風俗調査会成立から1982 年の中華人民共和国文物保護法制定にかけての間、中国の民俗学はどのように「物」と向き合ってきたのかを 整理し、新たな読みを探ってみる。中国民俗学の草創期における「物」に関する研究実践は古物研究、考古学 研究、博物館と連動することを確認し、「風俗物品」「民俗文物」と「古物」「文物」は不即不離の関係にあること も明らかにした。しかしながら、「風俗」「民俗」の用語はとうてい「古物」や「文物」保護・保存の法律に盛り込 まれたことがなく、加えて、「物」に関する研究は中国の民俗学研究者たちから重要視されなかった。「風俗物 品」と「民俗文物」は学術・法律の両面からの保証もなく「古物」と「文物」のはざまに置かれていたのが実情で あった。このように、本稿は中国民俗学史のあり方を捉え直す基礎的作業であり、中国民俗学の持つ可能性 を見出すための問題提起でもある。

収録刊行物

  • 日常と文化

    日常と文化 13 (0), 1-27, 2024-03-31

    日常と文化研究会

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390862623771541376
  • DOI
    10.50949/edlac.13.0_1
  • ISSN
    24364630
    21893489
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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