東京医科大学病院皮膚科におけるエムポックス28例の臨床症状の検討

書誌事項

タイトル別名
  • Clinical manifestations in 28 cases of Mpox infection at a dermatology department

抄録

2023年1月1日から2023年6月9日までに東京医科大学病院皮膚科を受診し,エムポックス(サル痘)と診断した28例を,カルテ情報を用いて後方視的に検討を行った.28例中全例が男性で,同性間性交渉者であった.平均年齢は38.9歳で,20〜40歳代に集中していた.皮疹は,紅斑,紅色丘疹,水疱・膿疱,潰瘍,痂皮が混在していた.皮疹の部位の検討では,性器周辺15例,体幹四肢22例,顔面10例,手掌足底5例(重複例を含む)であった.その他の臨床症状として,発熱25例,リンパ節腫脹8例,咽頭炎3例,頭痛2例,倦怠感1例,肛門痛4例(重複例を含む)があった.HIV陽性例は27例中24例,梅毒感染患者(既感染患者を含む)は25例中21例,既往にB型肝炎があった例は17例中15例であった.HIV,梅毒,B型肝炎抗原3項目陽性例は12例であった.感染経路としては,性交渉が26例,その他が2例であった.転帰は,28例中27例が経過観察のみ,1例がテコビリマットの治験目的で入院し回復した.本検討の結果,当科ではHIV陽性患者の発症が特に多く,さらに他の性感染症を併発している症例も多数認められた.エムポックスの皮疹は多彩なため,HIV陽性など事前情報がないと診断することは困難である.エムポックスを疑った場合には,男性間性交渉や性感染症の有無を問診することが重要である.また,エムポックスを疑った場合には保健所と相談し,防護服を着用して穿刺や除去などの検体採取は行うべきである.

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参考文献 (12)*注記

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