フェミニズムとルッキズムのはざまで : 映画『バービー』への批判を国内ファッションドールの様相から考える

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  • Between feminism and lookism : Criticism of the movie “Barbie” from the perspective of fashion dolls in Japan

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抄録

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[要旨] 2023年夏に公開された映画『バービー』は、同年の世界興行収入の最高額を記録するなど、各国で高い評価と話題を得て一大ブームとなった。一方、日本国内では他国のような爆発的な流行はみられなかった。ネット上で映画を低く評価する投稿からは、日本人がこれまで親しんできたファッションドール(リカちゃん人形)によって形成された価値観が、大きな影響を与えていることが読み取れる。国内では、映画を理解するために欠かせない多様な特徴を備えたバービー人形が登場していることと、その新モデル登場に至る社会的背景が浸透していない実態がある。一方、国内で圧倒的シェアを有するリカちゃん人形は、きわめて保守的な立場を保持し、発売当初から現在まで「かわいい」外見や、伝統的なジェンダー規範を追求してきた人形といえる。本稿では、国内におけるバービー人形とリカちゃん人形の受容の歴史を、映画への批判的意見と関連づけて分析した。両者の根底にはフェミニズム嫌悪への眼差しと、「かわいい」に至上の価値を見出そうとするルッキズムへの傾倒が内在しており、これらの問題は地続きであること考察した。

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