理科における科学的な表現の育成を目指す考察指導の可能性 : 相互評価活動と考察記述の定型化指導の研究動向・授業実践に着目して

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タイトル別名
  • The Possibility of Instruction on Consideration to Develop Scientific Expression in Science : Focusing on Research Trends and Classroom Practices in Peer Evaluation Activity and Instruction on Formulation of Consideration Description

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抄録

本研究は,理科における科学的な表現の育成を目指す考察指導として,相互評価活動と考察記述の定型化指導を取り入れる可能性について明らかにすることを目的として行った。この目的を達成するために,相互評価活動と考察記述の定型化指導に関する先行研究を調査し,研究成果と課題をまとめると共に,相互評価活動と考察記述の定型化指導を同時に行う中学校理科の授業を実践し,学習者が授業で実際に書いた考察記述と授業に関する感想の分析を行った。分析の結果,次の2点が明らかになった。(1)相互評価活動と考察記述の定型化指導を同時に行う考察指導には,結果(データ)と主張(結論),根拠(理由)の要素を含み,科学的な表現になるように記述の改善を促す効果がある。(2)その要因の一つは,友達と意見交換すると,自分に欠けている所や分からない所,違った考えや新しい考えを知ることができるようになり,さらに,定型化を促すフレームを用い考察記述に結果,主張,根拠を書くことで分かりやすくまとまり,考察を書けるようになったことにある。これらのことから,理科における科学的な表現の育成を目指す考察指導として,相互評価活動と考察記述の定型化指導を個別に取り入れるだけでは課題は残るが,その両方を同時に取り入れることが効果的であると示唆された。

収録刊行物

  • 教科開発学論集

    教科開発学論集 12 11-21, 2024-03-31

    愛知教育大学大学院・静岡大学大学院教育学研究科共同教科開発学専攻

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