2023年度 理科研究部 活動報告

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抄録

2023年はようやく対面での部会が再開し、再スタートの年になりました。 これまで理科研究部では、その教科特性から、専門性をもった先生方による個性が光る授業の公開や、新規性のある教材発表の場が多くありました。しかし、その反面、日常の授業についてじっくりと語り合う機会は少なく、各校の子どもたちの実態や普段の授業での子どもたちの能力、思考の変容など、理科の授業が与える内面的・永続的な能力に焦点を当てて、先生方と議論する場はあまりなかったように感じます。 私学には、それぞれに他校にはない校風や個性があり、特に理科では、各校の先生方の専門性がその学校が誇る理科教育として光を放っています。 しかし、目の前にいる子どもたちはどうでしょうか。個性の違いはあるにせよ、どの学校の子どもたちも同世代を生きる同じ子どもたちです。 コロナ禍を経て、VUCAの時代を生きていく彼らには、進化し続ける技術や社会情勢の中、新しいものを積極的に受け入れ「探究していく力」や、様々な社会課題に立ち向かう揺るぎない判断力、そしてその先にある人間にしかできない「創造」を生み出す力が必要とされています。 探究的な姿勢や創造性は、様々な未知の自然現象との出会いや直接体験の場が用意されている、理科でこそ育まれるものです。 今、目の前にいる子どもたちに必要な教育は、私たち教員の専門性の中に答えがあるのではなく、子どもたちの内面的・永続的な力、探究心や創造性を引き出すといった高次元の教育活動の中に答えがあります。内面的な力は、単発的な特別な授業から育まれるのではなく、日々の授業展開や子どもたちとの日常的なやりとりといった、ごく当たり前の毎日の教育活動によって積み上げられていくものであると考えます。 今年度から、主任も一新し、新たに部会目標として「56校の先生方全員で協働的に授業を創っていく」、そして「互いに育て、成長していける研究部」という2つの目標を掲げました。 今の理科研究部が目指す先は、それぞれの個性や専門性をもった先生方が普段の授業について本気で語り合い、各校の子どもたちの内面的・永続的な力を引き出す理科教育の在り方について56校の理科好きな先生方の英知を結集し、私学らしい理科教育の「実践的な答え」を出すことです。そして、その研究成果を後世に残るものとして、しっかりと積み上げていければと考えています。 地に足のついた実践的な語り合いからこそ、子どもたちが本気で「おもしろいと思える日々の授業」が生まれていくものと信じます この理科研究部紀要は、先生方の各校での実践研究を研究部内で共有すると共に、私学理科教育のさらなる発展を目指して、その成果を後世に残していく大切な記録です。

収録刊行物

  • 研究部紀要

    研究部紀要 5 (0), 1-5, 2024-03-31

    東京私立初等学校協会 理科研究部

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390862699741971456
  • DOI
    10.34516/rikabukai.5.0_1
  • ISSN
    24357561
    24356433
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用可

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