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抄録
本稿は,一冊の研究書『マゲマ・フゼ:コルワ知識人の形成』を題材に,20世紀初頭の南アフリカでアフリカ言語で歴史を書くことが持った意義を考察する。著者であるショニパ・モコエナはズールー語で歴史書『黒い人々:彼らはどこから来たのか』を書いたマゲマ・フゼの生涯を,フゼはいかに単なる情報提供者ではなく知識人となったのかという問いを中心に描き出す。『フゼ』は,はじまりについての本であると同時に,この本自体が一つのはじまりである。すなわちズールー人がズールー語で執筆した初の歴史書を対象とすると同時に,『フゼ』の出版が契機となりズールー語を含めたアフリカ言語で書かれた史料を分析する研究が促進されたのである。本稿は『フゼ』の検討を通して,アフリカ諸言語で書かれた著作が現存すること,それ自体の意味に着目することでフゼを含めたアフリカ知識人が生きた人種隔離期南アフリカへの新たな視点が得られると論じる。
収録刊行物
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- 甲南大學紀要.文学編
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甲南大學紀要.文学編 174 33-41, 2024-03-30
甲南大学文学部
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390862699742382464
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- NII書誌ID
- AN00084642
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- ISSN
- 04542878
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- IRDB
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用可