従事者雇用にみる集落営農法人の小農的性格の変化

書誌事項

タイトル別名
  • Changes in the Peasant Profile of a Community-based Farm Corporation Through the Farmer Employment Strategy─A Case Study in Tajimi City, Gifu Prefecture
  • ─岐阜県多治見市の事例─

抄録

<p>本稿では岐阜県多治見市を事例に,従事者雇用の形態を集落営農法人の採用戦略と手段,従事者の意思決定から明らかにし,従事者雇用の形態から集落営農法人の今日的な性格を考察した。早くから離農が増加した多治見市のA集落では,集落内の農地維持を目的に集落営農法人のB組織が設立された。B組織は農地を漏れなく維持するための水稲とブルーベリー,農業経営を存続させるためのイチゴとマイクロ野菜を生産し,これらは① 多治見市内女性の単純労働者としての雇用,② 農業技術を有する複雑労働担当者の正社員雇用から成り立っている。彼/彼女らをB組織とマッチングさせた関係は異なる。① がA集落内女性からの紹介というインフォーマルな紐帯であるのに対し,② では岐阜県農業大学校とのフォーマルな結びつきが重視されている。加えて,① と ② では賃金水準も異なる。① の賃金は岐阜県の最低賃金に設定されているが,②は地域内の農外企業と同水準であり,よりよい人材の確保が目指されている。こうした従事者雇用からは, B組織が農地維持を目的とする小農的な性格を維持しつつも,企業的な性格を取り込みつつあると指摘できる。</p>

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