桜島南岳火口における噴火に伴う火山雷の特性評価

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  • The Characterization of Volcanic Lightning at Minamidake craters of Sakurajima volcano.

抄録

<p>研究者氏名:重吉絢斗・西岡治弥・菱田琉斗・趙 戚軒 火山雷は噴火に伴った一般的な放電発光現象であり,噴火の際に噴出する粒子同士の衝突やマグマの破砕などによって噴煙が帯電して放電すると考えられている。しかし,火山噴煙の電荷分布や噴火現象による発生のメカニズムについての詳細は明確にされていない。また,桜島においては2008年からの昭和火口噴火において噴火回数が急増し,火山雷が頻繁に観測されたが,最近は南岳山頂噴火になり噴火回数が減少し,火山雷発生数も減少している。 我々は本年度から南岳山頂噴火における火山雷を対象に研究を始め,火山雷が発生しやすい噴火のタイプや噴火してから発生するまでの時間や発生する標高,さらにその際の火山雷の形状などについて特性評価を行っている。 火山雷を引き起こす噴火のタイプは,2011年に錦江湾高校西らが昭和火口での火山雷発生事象の分類と同様に,火口付近に高温の噴出物をまき散らす噴水型噴出するタイプと噴煙が円柱状に高く昇るカラム型噴出タイプの2タイプに分けられた。(図1)。また我々は火山雷を放電方向と長さの特徴から,火山雷の形状について5種類に分類した(図2)。火山雷の標高を測るときは,パソコンの画面での距離を実測し,換算して実際の高さを求めた。また,噴火情報は,鹿児島地方気象台の作成した「桜島噴火観測表」を基にした。夜間の火山雷動画は株式会社「財宝」の垂水ウェブカメラからの映像の提供を受けた。 現在,2022年の南岳で起こった噴火事象と2011年の昭和火口で起こった噴火事象を終え,その分析結果から火山雷発生時間や高度,噴火時の空振および発生高度と火山雷発生回数との関係を明らかにすることに取り組んでいる。 分析した結果,18事象中噴水型噴出は12事象で,カラム型噴火は6事象であった。 発生した火山雷のおよそ6割は,噴火したばかりの噴煙と山頂間の数メートルから十数メートルの点雷であった。さらに南岳において非常に明るい点雷も観察されたので,それを大点雷と名付けて区別した。次に数十メートルから数百メートルぐらいの縦雷が2割程度,同様に横雷が2割程度観察された(図3)。 カラム型噴火と噴水型噴出を比較すると,噴水型噴出は噴火直後に短時間に集中して火山雷が発生するのに対し,カラム型噴火は噴火後比較的長時間発生した。また火山雷の形状と経過時間に着目すると,小点雷は経過時間に関わらず発生。大点・縦雷・横雷・その他は、噴水型噴出においては噴火してから1分間に集中して発生していた。また火山雷のほとんどが1000m~1500mの間で発生していた。 さらに空振と火山雷の関係については,空振が大きい爆発的な噴火よりも空振が小さい噴火の方が火山雷の発生数が多い結果となった(図4)。このことは,単に噴火の規模が大きいということよりも噴火による噴煙の帯電状態が火山雷の発生を決めていることが伺われる結果となった。また,それぞれの火山雷の形状の発生数を比較すると,点雷が飛び抜けて多く,次いで横雷が多く発生し,縦雷とその他が同じくらい発生していた。 今後の目標としては,発生するすべての火山雷を観測するために,発生する鳴動(音波)やAMラジオなどで観測される電磁波観測に挑戦し,火山雷が観測しづらい日中に発生する火山雷や地形や噴煙の陰で発生する観測されにくい火山雷も含めた火山雷の全貌を捉えたいと考えている。キーワード:火山雷,噴水型噴出,カラム型噴出,点雷,縦雷,横雷参考文献 1)相澤広記,火山電磁気観測の進展,火山 第 61 巻 ( 2016) 第 2 号 345-365 頁2)西 歩美ら, 桜島の噴火に伴う火山雷の特性評価とそのモデルの提唱, 日本物理学会第8回Jr.セッション,口頭発表,鹿児島県立錦江湾高等学校</p>

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390862710142146432
  • DOI
    10.14863/geosocabst.2023.0_511
  • ISSN
    21876665
    13483935
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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