「九州におけるベトナムの子供たちのための、ベトナム語とベトナム文化の教育方法講座」実施報告

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タイトル別名
  • BÁO CÁO VỀ KHOÁ HỌC PHƯƠNG PHÁP GIẢNG DẠY TIẾNG VIỆT VÀ VĂN HOÁ VIỆT CHO TRẺ EM VIỆT NAM TẠI KYUSHU, NHẬT BẢN
  • キュウシュウ ニ オケル ベトナム ノ コドモタチ ノ タメ ノ ベトナムゴ ト ベトナム ブンカ ノ キョウイク ホウホウ コウザ ジッシ ホウコク
  • BAO CAO VE KHOA HOC PHUONG PHAP GIANG DAY TIENG VIET VA VAN HOA VIET CHO TRE EM VIET NAM TAI KYUSHU, NHAT BAN

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抄録

教育実践報告

海外で暮らすベトナム人が増加する今日、在外ベトナム人コミュニティにおけるベトナム語・ベトナム文化の維持・継承のニーズが高まっており、それをベトナム本国も推奨・支援している。このような流れの中、2023 年6 月3 日( 土)、「福岡県におけるベトナムの子供たちのためのベトナム語およびベトナム文化教育の重要性セミナー」(特定非営利活動法人在福岡ベトナム人協会・在福岡ベトナム領事館共催)が開催された。それに連動し、「九州におけるベトナムの子供たちのための、ベトナム語とベトナム文化の教育方法講座」(特定非営利活動法人在福岡ベトナム人協会・在福岡ベトナム領事館共催)が開講された。大阪大学(日本)・ダイナム大学(ベトナム)より4 名の講師が招かれ、九州地方に家族とともに暮らすベトナム人保護者たちが受講した。本稿は、本講座において講師を務めた者のうち2 名、Hoàng Anh Thi(大阪大学)と近藤美佳(大阪大学)より、講座の内容について報告するものである。本稿は大きく二つの内容を含む。一つ目は近藤による報告で、講座における教授内容の要点をまとめたものである。複数言語・複数文化環境に生きる子どものことばの教育に関する諸理論を概説、それらを応用した授業例を3 つ紹介する。その中で、ことばの教育に関わる大人(保護者や教師)が、複数の言語と文化の間を行き来する子どもたちの特性を理解することの重要性を主張した。二つ目は、Hoàng による報告で、ベトナム語の音と文字の関係性とその教授方法についてである。これは、講座の中において特に受講生からの質問が多く、幾度となく議論が行われた問題である。これについてさらなる検討を重ねるべく、現在ベトナム国内で使用されている国語教科書(小1)における音と文字に関する記述を分析した結果、1 冊の教科書の中であっても、音-韻-文字の関係性について一貫性に欠ける説明があることが確認された。ベトナム本国では、子どもたちに文字・単語を教える際、音節初頭子音(initials)と音節内のそれ以外の文節要素(rhymes)および声調(tones)の3 要素に分けて唱和させるという方法(đánh vần)が従来取られてきたが、現在、その是非が問われている。しかし、現段階ではまだその有用性を完全に否定することはできず、さらなる検討が必要である。在外ベトナム人がベトナム語・ベトナム文化を維持・継承していくにあたり、在外ベトナム人コミュニティ-ベトナム本国-居住国、地域-学校-家庭、そして研究-実践の連携は不可欠である。本講座のような取り組みが、今後引き続き活発に行われることを強く望む。

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