野外共同作業者の作業量把握のための空中固定式バルーン観測システム -茨城県真壁郡大和村青木地区の草刈り共同作業を事例として-

書誌事項

タイトル別名
  • Aerial stationary balloon observation system for finding out the effective field capacity of outdoor cooperative activities - Case Study of cooperative weeds-mowing in Aoki area Yamato-Village Makabe-District Ibaraki Prefecture -
  • ヤガイ キョウドウ サギョウシャ ノ サギョウリョウ ハアク ノ タメ ノ クウチュウ コテイシキ バルーン カンソク システム イバラキケン マカベグン ヤマトムラ アオキ チク ノ クサカリ キョウドウ サギョウ オ ジレイ ト シテ

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抄録

農村地域の環境は,地域のコミュニティ等による自主的な管理で支えられてきた。しかし,近年では過疎化・高齢化・混住化等が進行し,コミュニティの機能が低下して,道路や水路脇の草刈り作業や水路の泥上げといった共同作業が充分なされず,地域環境の荒廃化が危惧されている。加えて,担い手農家への農地利用集積により,地域の環境管理の負担が一部の農家に集中してしまい,人手不足により管理ができないといった事態も懸念される。このため,地域の良好な環境を持続的に維持管理する体制を整備することが緊急の課題となっており,その実現に向けて,管理実態を把握する必要がある。 しかし,そのような地域の管理の一つとして長年行われてきた草刈り作業に関して,これまで,アンケート調査やヒアリング調査による草刈り頻度を調査した事例(齋藤ら,2000)や,作業者一人が一定範囲内で草を刈る状況を計測した事例(木村ら,1994)等があるものの,多数の作業者が入り混じって行う共同作業の状況は詳細に把握されていない。他方,動力刈払い機(以下「刈払機」とする)による 作業事故は,刈り刃の接触による事故,刃先の破損による事故,空き缶や飛び石等の事故など多様であるが,増加傾向にあることが指摘されている(有田ら,1997)。 複数の作業者が入り混じって行われる草刈り共同作業は,作業者本人以外の他者の動向にも注意を払う必要があり,単独の作業に比べて危険性が高まる。ボランティア等による草刈り作業の支援も増えつつある中,より安全で効率的な作業方法を確立することが望まれる。このため,集団作業における各作業者の作業状況を定量的に把握できる観測システムがあれば有益であると考える。そこで,本研究では,野外の共同作業を対象として,多数の作業者の位置,作業内容の判別,実作業時間,作業範囲といった作業状況に関するデータを詳細かつ定量的に把握することを目的に,空中固定式バルーン観測システムを開発し,草刈り共同作業の観測を行って,本システムの有効性を検証したので報告する。 なお,バルーンを利用した既往研究(齋藤ら,1986),(宮下ら,1998)には,草地や稲麦の圃場を対象にカラー写真で空中撮影し,ある時点の静止画画像の解析から,作物の生育状況の判別や面積の測定を行った事例はあるが,動画による連続的な作業の解析事例はない。 本研究は(独)農業工学研究所の交付金プロジェクト研究「農業の持つ多面的機能の環境勘定による総合評価」の一環で行われた成果の一部である。実施にあたり,協力して頂いた大和村役場,青木地区の方々へ感謝の意を表します。

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