2012年から2013年の女川湾における植物プランクトン群集について

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タイトル別名
  • Phytoplankton assemblages in Onagawa Bay from 2012 to 2013 determined by DNA sequencing and pigment analysis

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抄録

女川湾で2012年1月~2014年2月にかけて,植物プランクトンの群集組成を調べた。Chl. a 量は冬から春にかけて高い傾向にあり,珪藻が保持するFuco 量も似た傾向を示したことから,春季ブルームは主に珪藻によるものと考えられた。6 月にはChl. b 量が高い傾向にあり,ピコプラシノ藻が増加していた。出現割合は平均2%にも満たないが,ラン藻は,夏に出現する傾向があった。ピコプラシノ藻とラン藻は貝類の捕食サイズより小さいため,餌料効率が低く,貝類の餌料としては適さない。渦鞭毛藻が保持する色素のPerid 量と,下痢貝毒原因プランクトンのディノフィシス属は経時的に不規則な変化をしていた。また,クリプト藻の中ではディノフィシス属の間接的に餌料となる種が優占していた。そのため,女川湾はディノフィシス属の増殖にとって適した環境になっていると考えられた。ハプト藻の中では,Phaeocystis sp.が優占していた。毒性を持つ種も存在するため,引き続き観察が必要と考えられた。HPLC による色素分析と NGS による遺伝子解析を組み合わせることで,貝類の餌料環境を把握するのに必要な植物プランクトンの季節変動を網羅的に把握できた。

収録刊行物

  • La mer

    La mer 61 (3-4), 259-274, 2024-03-27

    日仏海洋学会

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