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- 中島 定彦
- 関西学院大学
書誌事項
- タイトル別名
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- On the Evolutionary Origin of Conditioning
- ジョウケンズケ ノ シンカテキ キゲン オ カンガエル
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説明
<p>行動分析学や学習心理学の教科書でレスポンデント条件づけやオペラント条件づけの基礎について解説される際は、ヒト・サル・イヌ・ネコ・ラット・ハトなどの脊椎動物の実験がしばしば紹介される。しかし、脊椎動物だけでなく、無脊椎動物でも条件づけは生じる。節足動物・環形動物・軟体動物・扁形動物では、条件づけが容易に確認できる。棘皮動物でも、少なくともヒトデは条件づけ可能だと思われる。単細胞生物や海綿動物、刺胞動物では条件づけを確実に示す報告はない。条件づけという学習能力は古生代の始まりであるカンブリア紀に生じ、それがカンブリア爆発の契機の一つとする学説があるが、先カンブリア時代エディアカラ紀に生息していた動物も条件づけによる学習が可能だったのではないだろうか。また、さまざまな動物種にみられる条件づけ能力は、進化の過程で独立に獲得されたのかもしれないが、筆者は共通の祖先種から今日まで引き継がれたものだと考えたい。この場合、条件づけ能力は約6億年(正確には5億5500万年)から受け継がれたものだということになる。</p>
収録刊行物
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- 行動分析学研究
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行動分析学研究 37 (2), 235-247, 2023-04-20
一般社団法人 日本行動分析学会