第5学年 算数科「円と正多角形」の導入指導の一考察

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  • A Study on the Way of Introductory Instruction of Fifth Grade Mathematics “Circles and Regular Polygons” in an Elementary School

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抄録

本研究では,図形領域における資質・能力を育むために,第5学年の「円と正多角形」の導入指導において「正六角形を作成する過程で作られる正三角形を考察し,図形の構成要素に着目したり,図形の性質や定義を根拠に論理的に説明したりすること」「折り紙で作られた正三角形を広げるとどのような図形になるのかを予想し,図形の構成要素に着目したり,図形の性質や定義を根拠に論理的に説明したりすること」の2点を中心に授業を構想した。この構想した授業について実証的研究を行い,その成果と課題を明らかにすることを目的とした。その結果,児童は図形が作られる「過程」に着目し,その根拠を明らかにするために図形の構成要素や図形の定義や性質に着目した。また,児童同士の意見にずれが生まれたことで「根拠を明確にしたい」という問いが生まれ,相手を納得させるために,図形の構成要素に着目したり,図形の定義や性質を活用したりして,論理的に説明する児童の姿が見られた。その後「3つが重なった正三角形を広げると,どんな図形になっていると思う」と尋ねると,図形の構成要素や性質に着目し正六角形であることを説明する児童の姿が見られた。一方,動画教材視聴の途中で考察した「正三角形」と最終的に作成された「正六角形」の関係性を見出せずに,困惑する児童がいた。第2時では,30名中20名の児童が図形の構成要素に着目したり,図形の定義や性質を活用し,自力で「正八角形」を作成したりするなど図形領域における資質・能力が高まった児童の姿が見られた。一方,図形の「どこ」に着目したらいいのか,また定義や性質の「何」を活用したらいいのかわからず,困惑する児童の姿も見られた。このような児童に対しては,第3時以降も図形の構成要素に着目したり,図形の定義や性質を活用したりしながら論理的に説明する活動を適宜設定することが必要だと考える。

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