心理職のセルフケアに関する尺度作成の試み(3): 看護職に対する心理職のセルフケア尺度の 適応可能性に関する検討

書誌事項

タイトル別名
  • An attempt to create a scale for psychologists’ self-care: A Study of the adaptability of the Psychologist's Self-Care Scale to the nursing profession

抄録

宮島・萩谷・水野・岡田(2023, 2024)は心理職のセルフケア尺度(Dorociak et al., 2017)を参考にして日本に合うように項目を見直し、日本語版Self-Care Assessment for Psychologists Japanese(SCAP-J)を作成した。本研究の目的は、この尺度が心理職以外の対人援助職にも適用可能であるか検討し、心理職と比較することで職種毎のセルフケアの特徴を明らかにすることである。心理職以外の対人援助職として、心理職同様に感情労働を求められる看護職を対象として選択した。まず、心理職101人、看護職278人、合計308人を調査対象者とし、Web調査にてSCAP-Jおよび 職業性ストレス簡易調査票を実施した。まず、心理職および看護職におけるSCAP-Jの因子分析の結果、第1因子「専門性を高める活動」、第2因子「自己モニター」、第3因子「職場外の人間関係」、第4因子「職場内の対人関係」、第5因子「コントロール&リラックス」の5因子が抽出され、概ね心理職のSCAP-Jと一致する結果が得られたこと、全22項目でα=.90と十分な値となったこと、想定されるストレスの指標との間に有意な相関が見られたことから、看護職においても、その妥当性と信頼性が確認できた。次に、心理職と看護職との比較より、セルフケア尺度については心理職が看護職より高い数値を示した。一方、ストレス尺度では、看護職が心理職よりも高い値を示した。またテキストマイニングによりセルフケアの自由記述を強制抽出し、対応分析をした結果、心理職と看護職それぞれに特徴的なセルフケアがなされていることが明らかになった。これらのことから、SCAP-Jは看護職に対しても適応可能であり、これを用いて様々な対人援助職を対象にセルフケアを測定し比較することで職種特有のセルフケアの傾向を明らかにすることができる可能性が示唆された。それにより、各対人援助職のセルフケア支援に役立てることができると考えられる。

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