臨床検査検体の溶血率モニタリングの有用性と溶血率減少のための取り組みとその効果

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タイトル別名
  • Utility of hemolysis rate monitoring in clinical blood samples and efforts to reduce hemolysis rates and their effects

抄録

<p>採血から検査までの工程を適切に管理し,維持することが臨床検査の品質確保に不可欠である。今回,検査前工程での溶血の発生要因に焦点を当て,具体的な事例を通じて溶血をモニタリングすることの有用性を検証した。溶血は測定した血清情報から溶血指標を0,1+,2+,> 2+に分類しその件数と溶血率を算出した。遠心機の損傷による溶血率の増加事例では,2台の遠心機の溶血率比較と日々のモニタリングで早期に遠心機の不具合を発見できることを示した。採血翼状針のメーカー変更による溶血率の低下事例では,使用する採血器具の変更が溶血の発生に影響する場合があり,検査前工程に何らかの変更を加えた場合は溶血率によってその影響を観察できる可能性を示した。翼状針の製造工程で針へのシリコン塗布量が増加したことで溶血率が上昇した事例では,溶血が増加しているという客観的な指標によって異常の発生を早期に察知するためにモニタリングが有効であることを示した。真空採血管の容量に対する採血量の変更による溶血率の低下事例では,採血管容量に対して半量以上採血することで溶血率が半減した。さらに,採血管の容器容量を小さいものに変更することでさらに溶血率が減少した。これらの事例から検査試料の溶血率モニタリングが検査前工程の異常を早期発見することに役立つことを示した。</p>

収録刊行物

  • 医学検査

    医学検査 73 (2), 380-385, 2024-04-25

    一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390862876079589376
  • DOI
    10.14932/jamt.23-106
  • ISSN
    21885346
    09158669
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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