後天性鉄芽球性貧血におけるRNAスプライシング異常の意義

DOI
  • 大地 哲朗
    東北大学大学院医学系研究科 血液内科学分野 国立がん研究センター中央病院 血液腫瘍科

書誌事項

タイトル別名
  • Role of aberrant RNA splicing in acquired sideroblastic anemia

抄録

<p>鉄芽球性貧血はミトコンドリアへの異常な鉄沈着により生じる環状鉄芽球(ring sideroblast, RS)を伴う貧血の総称である。後天性鉄芽球性貧血である骨髄異形成症候群におけるRS増加はSF3B1変異と強く関連するが,変異型SF3B1によるRS形成機序は不明である。筆者らは変異型SF3B1を導入した赤芽球系前駆細胞株HUDEP-2細胞を用いてin vitroでのRS形成を再現し,鉄硫黄クラスター輸送体ABCB7においてスプライシング異常を介した発現抑制が生じていることを示した。さらにABCB7ノックダウンHUDEP-2細胞においてヘム合成の律速酵素ALAS2の翻訳が抑制されていることを示した。ABCB7発現抑制により惹起された細胞内の鉄硫黄クラスター分布異常が鉄代謝の恒常性を乱すことでRS形成に至ると考えた。本稿では鉄芽球性貧血やスプライシング異常について概説し,筆者らの研究成果を紹介する。</p>

収録刊行物

  • 臨床血液

    臨床血液 65 (4), 222-230, 2024

    一般社団法人 日本血液学会

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390862931515511808
  • DOI
    10.11406/rinketsu.65.222
  • ISSN
    18820824
    04851439
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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