助産師が行う父親支援の実態と実施状況・認識に関連する要因

書誌事項

タイトル別名
  • Factors related to the actual situation and implementation and perception of midwives' support to paternal role acquisition

抄録

<p>目 的</p><p>父親支援の実態として,助産師が行う父親支援の実施状況と重要性の認識,それらに関連する要因,今後の支援実施に対する認識,抱える困難感を明らかにすること。</p><p>対象と方法</p><p>A県内の周産期母子医療センターの助産師を対象に,無記名自記式質問紙調査を行い記述統計と内容分析を行った。また,父親支援の実施状況,重要性の認識と対象特性の関連をクリスカル・ウォリス検定またはマンホイットニーのU検定で調査した。</p><p>結 果</p><p>承諾を得た施設は7施設(承諾率35.0%)であった。有効回答数は,量的データ78名(有効回答率35.6%),質的データ68名(有効回答率31.1%)であった。37項目の実施状況では,「常に実施している/ほとんど実施している」の回答割合が最も低い項目は3項目あり,ピアサポートや母乳育児に関する項目であった。重要性の認識では,「非常に重要である/やや重要である」の回答割合が最も低い項目は,「母乳栄養の経験のある父親に母乳育児中の父親の心理を語ってもらう」であった。父親支援の実施得点では,父親支援の学習経験において有意な差がみられた。今後の支援実施に対する認識では,父親支援をより積極的に行う必要があると回答した者は74名(94.9%)であり,今後必要な支援として《ICTを活用した支援》等の14コードが抽出された。支援実施に困難感がある者は68名(87.2%)であり,内容として《父親支援の実施機会や実施時間が十分にない》等の13コードが抽出された。</p><p>結 論</p><p>実施の割合と重要性の認識の割合が低い項目は,ピアサポートや母乳育児に関する項目であり,重要性の周知や実施率の向上に向けて特に検討が必要であることが示唆された。父親支援の実施状況と支援の学習経験に有意な関連がみられ,質の高い支援の実施に向けて助産師教育の検討の必要性が示唆された。父親支援の必要性の認識は高いと考えられたが,87.2%の助産師が支援実施に困難を感じており,支援の実施機会を増やすために,ICTを活用した支援の拡充の必要性が示唆された。</p>

収録刊行物

  • 日本助産学会誌

    日本助産学会誌 38 (1), 135-144, 2024

    一般社団法人 日本助産学会

参考文献 (2)*注記

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