小腸重積を契機に診断された小腸アニサキス症の1例

書誌事項

タイトル別名
  • A Case of Small Intestinal Anisakiasis Diagnosed as a Result of Small Intestinal Calculus
  • ショウチョウジュウ セキ オ ケイキ ニ シンダン サレタ ショウチョウ アニサキスショウ ノ 1レイ

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抄録

<p>症例は83歳,女性.背部痛と嘔吐を主訴に前医を受診し,腸閉塞の疑いで当院を紹介受診した.腹部X線写真では立位で鏡面形成を認め,腸閉塞の所見であった.腹部超音波検査ではmultiple concentric ring signを,腹部造影CTでは同心円状の層構造を呈する腸管を認め,腸重積による腸閉塞を疑い同日緊急手術を施行した.腹腔内は小腸に腸重積を認め,口側腸管は拡張していた.用手的整復は困難であり,小腸部分切除術を施行した.肉眼所見では腸間膜の癒着と被包化された腸管膜間に膿汁露出を認めた.病理組織学的所見は,腸管癒着部の腸間膜内にアニサキス様の虫体および壊死物と肉芽腫を,周囲の腸管壁は粘膜固有層の浮腫が目立ち,慢性型アニサキス症の所見であった.小腸アニサキス症は稀な疾患だが,われわれはアニサキス虫体による膿瘍形成が原因で小腸重積をきたした1例を経験したため,若干の文献的考察を加えて報告する.</p>

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