日本語版Positive Solitude尺度の開発および信頼性・妥当性の検証

書誌事項

タイトル別名
  • Development and evaluation of the reliability and validity of the Japanese Version of the Positive Solitude Scale

抄録

<p>目的 孤独はSolitudeとLonelinessに分けられ,日本では孤独を不快で苦痛を伴う体験であるLonelinessとして捉えている研究が主である。一方,Solitudeは他の人といる時でも人と関わらないことを選択することで発生するものであり,必ずしも否定的な感情を伴うものではない。本研究ではSolitudeに着目し,“一人でいることをポジティブな経験として,意識的・自発的に決定すること”を測定する日本語版Positive Solitude尺度(Japanese version of the Positive Solitude Scale:JPSS)を開発し,その信頼性と妥当性を検証する.</p><p>方法 JPSSはPalgi et al.(2021)のPositive Solitude Scaleの日本語版である.対象は,札幌市A区に在住する20歳以上の男女700人とし,2023年5~8月に,無記名自記式質問紙調査を実施した.調査項目は,基本属性,JPSS,収束的妥当性を検証するために主観的健康感,主観的Well-being,抑うつ,弁別的妥当性を検証するためにソーシャルネットワーク,孤独感で構成した.分析は,主成分分析と相関分析を用いた.</p><p>結果 回収数は245部,有効回答数237部(有効回答率33.9%)であった.対象者の平均年齢は58.5±1.2歳,性別は「男性」111人(46.8%)であった.JPSS得点のCronbachα 係数は0.92であった.主成分分析の結果,9項目すべてで主成分負荷量が0.6を超えており,尺度全体の累積寄与率は62.3%であった.尺度総点は主観的健康感(ρ=0.210, P=0.001),ポジティブ感情(ρ=0.302, P<0.001),生活満足度(ρ=0.241, P<0.001)と有意な正の相関であった.また抑うつ,ネガティブ感情,ソーシャルネットワーク,孤独感とは有意な相関はなかった.</p><p>結論 JPSSは信頼性と妥当性を有したソーシャルネットワークなどの社会的関係に影響を受けない尺度である.本尺度は,孤独感とは異なるポジティブな感情として自分の時間の認識を測定できる新たな尺度であると考えられる.</p>

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390862931516974720
  • DOI
    10.11236/jph.23-096
  • ISSN
    21878986
    05461766
  • PubMed
    38684417
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • PubMed
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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