ライソゾーム内シスチンを標的としたがん細胞のフェロト-シス感受性制御

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<p>アミノ酸の一種であるシステインは,細胞外では二量体であるシスチンとして存在し,シスチントランスポーターxCTにより取り込まれる.細胞内のシスチンは,システインに還元され抗酸化物質グルタチオン(GSH)の原料として細胞内レドックス制御に関与しており,多くのがん細胞ではシスチン取り込みを促進し細胞内GSHを高レベルに保つことで薬剤耐性を獲得している.この生存戦略に対抗するため,xCT阻害剤を用いてがん細胞のレドックスバランスを崩し細胞死の一種であるフェロトーシスを誘導する治療戦略が注目を浴びている.一方で,アミノ酸飢餓は転写因子であるATF4を介した抗酸化ストレス応答を招き,がん細胞のフェロトーシスを抑制してしまう.システインを巡るこのパラドックスの解消が治療最適化への課題となっている.本稿ではライソゾーム内シスチンがATF4を介したストレス応答を制御することを明らかにしたSwandaらの報告を紹介する.</p><p>なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.</p><p>1) Lin W. et al., Am. J. Cancer Res., 10, 3106–3126(2020).</p><p>2) Swanda R. V. et al., Mol. Cell, 83, 3347-3359(2023).</p><p>3) Rizzollo F. et al., Trends Biochem. Sci., 46, 960–975(2021).</p>

収録刊行物

  • ファルマシア

    ファルマシア 60 (5), 448-448, 2024

    公益社団法人 日本薬学会

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390862943886116352
  • DOI
    10.14894/faruawpsj.60.5_448
  • ISSN
    21897026
    00148601
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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