北陸地域の水稲初冬直播き栽培における出芽・苗立ち性および収量性

  • 大平 陽一
    農研機構中日本農業研究センター
  • 加藤 仁
    農研機構中日本農業研究センター
  • 下野 裕之
    岩手大学農学部 岩手大学次世代アグリイノベーション研究センター

書誌事項

タイトル別名
  • Characteristics of Emergence, Seedling, and Yield in Early-Winter Direct-Sowing Rice Cultivation in the Hokuriku Region

抄録

<p>作期分散を可能にする水稲初冬直播き栽培技術の北陸地域での確立に向けて,品種,種子の生産年次および種子コーティングが越冬後の出芽率に及ぼす影響ならびに,機械播種による収量性を評価した.当地域で普及している6品種のうち,「北陸193号」を除く5品種は手播きによる出芽率が34~68%であり実用性があると考えられた.また,前年産種子は出芽率が当年産種子に劣りやすい点,チウラム水和剤の種子コーティングが出芽率を向上させる点を明らかにした.当年産種子の準備の観点から早期に収穫できる早生品種「つきあかり」を機械播種試験に供試し,安定した収量に必要な苗立ち数を確保するための播種量を検討したところ,耕起同時播種での苗立ち率は概ね25%程度と考えられ,当年産種子約11 kg 10 a‒1が必要と推定された.実証試験として品種「つきあかり」を用いた生産者圃場での初冬直播き栽培では,肥効調節型窒素肥料を播種時に土中施用することで全刈り精玄米重が411~529 kg 10 a‒1であり,収量500 kg 10 a‒1を超える事例が全3シーズンで得られた.これら知見は,北陸地域における初冬直播き栽培の初めての報告であり,本技術を体系的に確立するための基礎的知見となる.</p>

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